【術後2年経過】くりぬき法で治療した粉瘤のその後|再診で感じた信頼と、医師の姿勢について思うこと
こんにちは。
大阪市淀川区・新大阪にある【こおりたひろ整形形成外科クリニック】
院長の郡田です。
今回は、令和4年(2022年)2月7日にご紹介した粉瘤(アテローム)の症例
その後についてお伝えいたします。
🔹 術後2年、他疾患で再診された際に…
くりぬき法で粉瘤の手術をされた患者さんが、
2年後に別の疾患で当院を再診されました。
診察の際、以前の手術部位を拝見し、写真撮影にもご協力いただきました。
誠にありがとうございました。
患者さんご本人からは、
「傷跡は、ほとんど気になりません。」
とのお言葉をいただき、私たちも非常に嬉しく感じました。
よく見れば、わずかな跡はありますが、
初対面の方が気づくことはまず無いと思われます。
これは、くりぬき法+なつい式湿潤療法による低侵襲な治療と、
体に優しい術後管理によるものです。
🔹 ある患者さんからのご相談「くりぬき法を広めた医師の話」
最近、別の患者さんからこのようなご相談を受けました:
「くりぬき法を発見し、日本中に広めたのは自分だ!と話していた先生がいて、すごいと思って受診したのですが…」
「炎症があるからと手術を断られたんです。なぜでしょう?」
と。
鼻の穴を膨らませながら、興奮気味にそう語る医師もいたそうで、
そのギャップに不安を覚えた患者さんは、当院へご相談に来られました。
私はただ、
「すみません、私には分かりません。」
とお答えするしかありませんでした。
🔹 医師としての立場と、信頼について
実際に「自分がくりぬき法を広めた」と公言されている医師が
全国に何人かいらっしゃると、数人の患者さんから伺いました。
もしかしたら本当に全国に普及させたのかもしれませんが、
私はその方々のことを存じ上げません。
私は、「なつい式湿潤療法」の考案者である夏井睦先生のご指導のもと、
くりぬき法となつい式湿潤療法を組み合わせた体に優しい治療を行ってきました。
患者さんにとって必要な事は、派手な実績よりも、確かな技術と丁寧な説明、
そして一人ひとりに寄り添った医療だと考えています。
✅ まとめ|患者さんの信頼こそが、私たちの誇りです
・くりぬき法で治療した粉瘤の術後2年後の経過も非常に良好
・傷跡も目立ちにくく、再診時にもご満足いただけました
・派手な自己主張より、患者さんにとっての安心と結果が何より大切
・当院は炎症があっても手術可能、保険診療にて対応しております
これからも誠実に、そして患者さんの信頼に応えられる医療を大切にしてまいります。
粉瘤でお困りの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

術前

術中(粉瘤内容物を排出)

術中(粉瘤被膜を摘出)

術直後

術後5日

術後22日

術後2年
🔵 粉瘤(アテローム)に関するよくあるご質問(FAQ)
Q1. 粉瘤とは何ですか?
A.
粉瘤(ふんりゅう、アテローム)とは、皮膚の下にできる袋状の良性腫瘍です。
中には皮脂や角質が溜まっており、自然に消えることはほとんどありません。
放置すると炎症を起こし、腫れ・痛み・膿が出ることがあります。
Q2. 粉瘤は自然に治りますか?
A.
自然に治ることは基本的にありません。
小さくなることがあっても、内部の袋(被膜)が残るため、
再発することが多いです。
再発予防には手術による摘出が必要です。
Q3. 炎症があるときは手術できないのですか?
A.
他院で「炎症があると手術できない」と言われることがありますが、
当院では炎症があっても「くりぬき法」による手術が可能です。
むしろ早期の手術により、痛みや腫れが早く改善します。
Q4. 抗生物質では治らないのですか?
A.
炎症が強い粉瘤には抗生物質は無効です。
なぜなら、炎症は袋の内部で起きており、その袋には血流がないため、
薬の効果が届かないからです。
よって、袋ごと手術で取り除くことが根本的な治療になります。
Q5. 手術はどんな方法ですか?
A.
当院では「くりぬき法」という方法を用いて、できるだけ小さい傷で
袋(被膜)まで完全に取り除きます。
傷跡も非常に小さく、術後の痛みも最小限です。
Q6. 術後の処置はどのように行いますか?
A.
なつい式湿潤療法という方法で、傷を乾かさずに治す処置を行っています。
・消毒しません
・ガーゼ交換不要
・シャワー・入浴も翌日からOK
・抗生物質も基本的に処方しません
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Q7. 術後に再発することはありますか?
A.
袋を完全に摘出できれば再発はほとんど御座いません。
当院では術中に被膜をしっかり取り除くことを重視しています。
Q8. 手術後の痛みや腫れはどの程度ありますか?
A.
炎症が強かった症例でも、術後の痛みは少ないケースがほとんどです。
多くの患者様が「想像していたより痛くない」と話されます。
Q9. 粉瘤が小さいうちに手術した方が良いですか?
A.
はい、小さいうちに手術することで、傷跡も小さく、
手術時間や回復も短く済みます。
炎症が起きてからでは、痛みも強く治療が複雑になります。
Q10. 粉瘤の手術は健康保険が使えますか?
A.
はい、粉瘤の手術は保険診療の対象です。
手術の規模や部位により、負担額が異なる場合があります。