大阪市淀川区・新大阪にある
【こおりたひろ整形形成外科クリニック】院長の郡田です。
◆植皮の相談が急増しています
前回のブログを公開して以降、
「植皮が必要と言われましたが、なつい式湿潤療法で治りますか?」
というお問い合わせが非常に増えております。
◆まずご理解いただきたいこと
お電話や文章だけでは、実際の患部を診察していないため、明確なお答えができません。
そのうえでのお話にはなりますが――
多くの熱傷は、植皮手術をせずに、なつい式湿潤療法で治療可能です。
これは過去の多数の症例から、私たちが確信を持ってお伝えできることです。
◆「皮膚が黒くなっています。まだ間に合いますか?」
こういったご相談も頻繁にいただきます。
皮膚が黒くなるというのは、皮膚が壊死している状態を意味しています。
その原因は、多くの場合“間違った治療”を受けていることにあります。
なつい式湿潤療法が正しく行われていれば、血流障害などの特殊な事情がない限り、
皮膚が壊死することはほとんどありません。
(※詳しくは2025年6月6日のブログもご参照ください)
◆感染予防のために植皮?それは逆効果では?
一部の医師からは、
「感染予防のために植皮が必要です」
と言われるケースもあるようですが、
植皮によって感染リスクが減る、とは私には思えません。
むしろ、植皮を行った後の方が、術後感染を起こしやすいという印象さえあります。
◆植皮は「一度行うと元に戻せない」不可逆的な処置です
特に、お子さんに対する植皮(※1歳半未満の手のひらの熱傷を除く)には、
私は強く反対します。
なぜなら、一度植皮が行われてしまえば、
皮膚の移植跡は一生残り、取り返すことができないからです。
これは大げさな表現ではなく、
人生が変わってしまう可能性がある重大な決断です。
◆植皮を勧められた方へ|行動する前に一度だけご相談を
ご自身、ご家族、ご友人などが植皮手術を勧められてお困りの場合は、
どうか一度でいいので、「正しいなつい式湿潤療法」を実践している医療機関
(当院でなくても構いません)を受診されることをおすすめします。
◆注意点:湿潤療法にも「正しくないもの」があります
中には、「湿潤療法」と称しながらも、
実際にはガーゼや消毒、軟膏を併用している医療機関もあります。
こうした“なんちゃって湿潤療法”では、期待される効果は得られませんので、
医師の治療方針をよく確認することが大切です。
◆まとめ|植皮の前に、湿潤療法の可能性を知ってください
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熱傷のほとんどは、植皮せずに治癒可能です
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皮膚が黒くなった原因は、多くの場合誤った治療です
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植皮は不可逆的な処置であり、慎重な判断が必要です
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お子さんへの植皮には、特に注意が必要です
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一度でいいので、なつい式湿潤療法を専門とする医療機関へ相談してください
🖊️ 執筆者情報
執筆者:郡田 大宇 (こおりた ひろたか)医師
(こおりたひろ整形形成外科クリニック 院長)
専門分野:整形外科・形成外科・熱傷・粉瘤手術
経験・実績:粉瘤手術を中心に累計6,000件(年間約500件)以上の手術実績。
粉瘤、ケガ、やけどなど、くりぬき法・なつい式湿潤療法
による症例をブログに1,000例以上掲載しています。
すべての症例は院長自身が診察・手術・経過観察を行っています。







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