患者さんは、40代です。
後頚部に約1年前より粉瘤(アテローム)が有ったそうです。
1週間前より痛くなってきたために、炎症が強くても手術をしてもらえる医療機関を探され、当院を受診されました。
くりぬき法で手術致しました。
術後、毎日、シャワー 入浴 OK です。
術後創部は、なつい式湿潤療法で治療致しますので、一度も消毒はしておりません。
術後、感染状態にはなりませんでしたので、抗生物質は処方しておりません。
いまだに、炎症している粉瘤(アテローム)には手術が出来ないと考えている医師が多いようです。
今まで、数多くの症例をこの地味なブログにあげさせて頂いております通り、炎症が強くても全く問題なく手術することが可能です。
炎症の強い粉瘤(アテローム)の方が、被膜が周囲組織から遊離しておりますので、逆に手術はやり易いくらいです。
(師匠の夏井先生のH.P.御参照下さい。)
また、炎症が強い粉瘤(アテローム)に対し、とりあえず抗生物質を処方する医療機関がかなり多いようですが、ほとんど効果が無いと私は思っております。
「他院で抗生剤を処方されたが、全く治らないどころか余計に炎症が強くなった。」と言って受診される患者さんが多数おられます。
抗生物質のせいで炎症が強くなった訳では御座いません。
一旦炎症が始まりますと、被膜が破れるまで炎症はどんどんひどくなっていきます。
「抗生物質を内服すると炎症が引いた。」という患者さんもまれにいらっしゃいます。
それは、抗生物質を内服した時期と、被膜が破れた時期がたまたま同じだったという事だと思います。
抗生物質を内服しましても、炎症を抑えることはほとんど出来ません。
被膜の内部で炎症が起こっておりますので、被膜ごと取り切るしか治る方法は無いと思っております。