患者さんは、可愛い可愛い5歳の男の子です。
カップラーメンの汁がかかり、熱傷されました。
すぐに地元の○○病院救急外来を受診。軟膏、ガーゼ処置だったそうです。
翌日、同病院皮膚科を受診されるも、熱傷の範囲が広く、深い為にここでは治療できないという事になり、お住まいの県の基幹病院を紹介されました。そこでは、フィブラストスプレー、アズノール軟膏、ガーゼ処置だったそうです。
先生からあまり詳しい説明が無く、また、処置の度に痛がる息子を見ていられなくなり、色々と調べられ、熱傷3日後に「湿潤療法」目的にてご遠方より当院ご受診されました。
① 「湿潤療法」の説明。
② ハイドロコロイドの貼り方。
③ 良く似た症例の経過写真を見て頂き、大腿の深い熱傷部以外は、2週間ほどで治る事。大腿の深い部分も、4週間以内には治る事。
④ もちろん、毎日シャワー 入浴 OK。(石鹸は使用してはいけない)
⑤ 感染状態では無いので、抗生物質は必要ない事。
以上の説明をさせて頂きました。
御両親はご安心されたご様子でした。
初診時は、熱傷部にガーゼが引っ付いていましたので、ガーゼを剥がす際に出血してしまいました。このことこそが、ガーゼを直接創部に張ってはいけない理由の一つです。ガーゼ処置をしておりますご、ガーゼを剥がすたびに、出血し、かなりの痛みを伴い、そして、傷が深くなっていきます。
初診時のみ、ガーゼに創部が引っ付いて出血してしまった部分だけ、止血効果のある創傷被覆材(ヘモスタパッド)を使用致しました。
その他の部位は、ハイドロコロイドで被覆致しました。
綺麗に治り、喜んで頂きました。(通院日数5日)
あと、半年もたちますと、ほとんど分からないくらい綺麗になっていると思います。
創部を綺麗に治すためには、1日でも早く「湿潤療法」で治療しないといけません。従来通りの、消毒、ガーゼ処置の期間が長ければ長いほど、途中で「湿潤療法」に変更致しましても、創部がケロイド状になる場合が御座います。
熱傷は、1歳半以下の手掌熱傷で屈曲拘縮になった場合以外(炊飯器の蒸気を触ってしまって熱傷)では、まず植皮することなく「湿潤療法」により、治療する事ができます。植皮術を一旦受けてしまいますと、皮下組織が破壊されますので、湿潤療法に変更する事は出来ません。植皮を勧められておられる患者さんがおられましたら、是非とも一度「湿潤療法をしている医師」の受診を勧めてあげて下さい。宜しくお願い致します。
(大腿)
下腿の経過写真は、次回(3月30日)掲載させて頂きます。