患者さんは、1歳の可愛い可愛い男の子です。
土鍋のふちに左頬を当ててしまい熱傷されました。
お近くの皮膚科を受診。
湿潤療法を希望されましたが、そこの医師からは
「湿潤療法だとばい菌が入るから駄目だ。」
と言われたんだそうです。
そこで、色々と調べられ、当院ご受診されました。
「湿潤療法だとばい菌が入る。」と言うのは、少しだけ正しいです。
正確に申しますと
「湿潤療法だろうが、従来通りの消毒ガーゼ処置だろうが、どちらでもばい菌は創部にいます。」
です。湿潤療法だから「ばい菌」が入るという訳では御座いません。
ばい菌を創部から無くすことは、ガスバーナーで創部を焼けば出来ますが、それ以外ではまず出来ません。
ここで重要なことは、「ばい菌」は悪者ばかりでは無いという事です。
体にとって居てもらった方がよい「ばい菌」も多数おります。
また、「ばい菌」がいれば「感染」という訳では御座いません。
「感染状態」とは、悪いばい菌が局所的に異常増殖した状態です。
具体的症状と致しましては、
① 発熱
② 腫脹
③ 疼痛
④ 発赤
です。
以上4徴候がそろった場合を医学的には「感染状態」と言います。
よって、「ばい菌」がいたからといって、上記症状がなければ「感染状態」では無いのです。
人間は約60兆個の細胞から出来ております。
そして、人間を取り巻く細菌は、約100兆個居ると言われております。
「ばい菌」がいたら感染というのであれば、人間全員「感染状態」という事になってしまいます。
また、「湿潤療法」をしたから「ばい菌」が増えやすいという事は御座いません。
「湿潤療法」では、毎日創部をシャワーをかけて洗い流して頂きます。もちろん、入浴もOKです。
毎日洗い流して頂く事で、やっかいな「ばい菌」達はほとんど洗い流されます。
(石鹸は使用してはいけません。界面活性剤を創部に使用致しますと、創部が深くなりますし、なによりむちゃくちゃ痛みを伴うからです。)
ちなみに、当院には湿潤療法目的の患者さんが多数ご来院されますが、ここ数年感染された患者さんはおられません。
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