【炎症が強くても手術可能】抗生物質が効かない首の粉瘤に対し、くりぬき法で安全に摘出した症例|術後感染なし
大阪市淀川区・新大阪にある【こおりたひろ整形形成外科クリニック】院長の郡田です。
今回は、炎症が強く、抗生物質も効果がなかった頚部の粉瘤(アテローム)に対して、くりぬき法で安全に摘出を行った症例をご紹介いたします。
👤 患者さんについて
患者さんは30代の方です。
数年前から首に粉瘤(アテローム)があったそうですが、最近になって腫れて痛みを伴うようになったため、近隣の皮膚科(〇〇皮膚科)を受診されました。
その皮膚科では、
「炎症が強いときは手術ができません。まずは抗生物質で炎症を抑えましょう。」
と説明を受け、抗生物質を処方されたとのことです。
💊 抗生物質では悪化することも
処方された抗生物質を数日間服用したものの、痛みはむしろ増してきたとのこと。
そこで「炎症があっても手術をしてくれる医療機関」をインターネットで調べ、当院を受診されました。
結論から申し上げますと、炎症が強い粉瘤に対して抗生物質は効果がありません。その理由は次の通りです:
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粉瘤の内部(袋の中)には血管がないため、抗生物質の成分が届きません
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炎症は粉瘤内部で起きているため、薬では改善せず、体調を悪化させる場合(下痢等)もあります
🛠️ 手術について|炎症が強くても「くりぬき法」で安全に摘出可能
当院では、炎症の有無にかかわらず、「くりぬき法」で粉瘤を安全に摘出可能です。
むしろ、炎症によって粉瘤の被膜が浮いているため、剥がしやすくなるという利点もあります。
今回も、5mmのパンチを用いてくりぬき法で手術を行い、被膜までしっかり摘出できました。
💧 術後の処置|なつい式湿潤療法を採用
術後の創部は、なつい式湿潤療法で管理しました。
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消毒は一切行っておりません
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感染状態はなく、抗生物質の処方も不要でした
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術後翌日からシャワー・入浴も可能です
✅ まとめ
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炎症が強くても、粉瘤は安全に手術で摘出できます
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抗生物質は効果がなく、むしろ悪化するケースもあります
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くりぬき法と湿潤療法を併用すれば、傷跡も最小限に抑えられます
粉瘤でお悩みの方は、炎症がある・ないにかかわらず、ぜひご相談ください。
🔎 関連FAQ(よくあるご質問)
Q. 炎症があると手術はできないのですか?
→ いいえ、当院では炎症があっても手術可能です。
むしろ早期摘出が望ましい場合もあります。
Q. 抗生物質は効きませんか?
→ 粉瘤の中には血流がないため、薬は届きません。根本的な治療には手術が必要です。
Q. くりぬき法は再発しませんか?
→ 被膜ごと摘出できれば、再発率は非常に低くなります。

術前

術中

術直後

術後1日

術後4日

術後13日