大阪市淀川区・新大阪にある【こおりたひろ整形形成外科クリニック】院長の郡田です。
今回は、2歳の女の子が熱湯で顔に熱傷を負い、誤った初期治療によって悪化しかけたところ、当院で「なつい式湿潤療法」によって綺麗に治癒された症例をご紹介します。
◆患者さんについて
患者さんは、可愛い2歳の女の子です。
沸かしたばかりの熱湯を誤って顔にかぶってしまい、熱傷(やけど)を負われました。
すぐに3次救急病院を受診されたものの、熱傷(やけど)の専門医が不在で、「とりあえずガーゼを当てておきましょう」との対応のみ。
翌日からは、地元の市民病院にて軟膏とガーゼによる加療を受けられていましたが、なかなか良くならず、3日目から「ゲーベンクリーム」による処置に切り替えられたそうです。
◆「ゲーベン」は使用してはいけません
この薬剤は皮膚を乾燥させ、創を深く悪化させる性質があり、
熱傷治療には全く適していません。
それにも関わらず、今も多くの医療現場で使われていることを非常に残念に思います。
さらに、「ヒルドイドクリーム」も皮膚に塗ってはいけない薬剤です。
これらのクリーム剤には「界面活性剤」が含まれており、簡単に言えば“洗剤”です。
皮膚に必要な成分を壊し、結果として「治るはずの傷」を悪化させてしまいます。
◆当院受診時(熱傷5日目)
ゲーベン処置により傷が悪化し、「深い熱傷なので、傷跡が残るでしょう」「治るにはかなり時間がかかります」と説明を受け、不安を抱えていたご両親。
そんな中、ご両親の職場の方が「なつい式湿潤療法」の存在を教えてくださったそうで、
ネット検索を通じて、熱傷(やけど)から5日目に当院を受診されました。
◆なつい式湿潤療法での加療
診察の結果、状態は確かに悪化していましたが、それは熱傷(やけど)が深かったからではなく、初期の治療が間違っていたためです。
当院ではすぐに「なつい式湿潤療法」に切り替えて加療を開始。
適切な処置により、傷は日ごとに改善し、約1か月で綺麗に治癒しました。
◆6か月後の再受診と驚きの経過
半年後、別の疾患で再び当院を受診された際、治癒した熱傷部位の写真を撮らせていただきました。
皮膚の状態は非常に良好で、まるで何もなかったかのようにきれいに回復していました。
ご両親からは、
「綺麗に治して頂き、本当にありがとうございました。」
という、心からのお言葉をいただき、私も大変嬉しく思いました。
🔍 この症例のポイントまとめ
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2歳の女児の顔の熱傷
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「なつい式湿潤療法」に切り替えたことで完治
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約1か月で治癒し、6か月後も跡が目立たない
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誤った薬剤使用が今も多く行われている現実
お子さまの熱傷(やけど)で不安を抱えている保護者の方へ。
本当に必要なのは「早期の正しい処置」です。
どうか、消毒・ガーゼ・ゲーベン・ヒルドイドなど、皮膚を傷める治療から一歩離れてみてください。

初診時

加療後4日

加療後8日

加療後25日

加療後6か月