大阪市淀川区・新大阪にある【こおりたひろ整形形成外科クリニック】院長の郡田です。
2017年に当院で顔のほくろ切除を行った50代の患者さんが、
別件(頚部粉瘤手術)で8年ぶりに受診されました。
診察の際に以前の手術部位を確認したところ、
術後8年が経過しているにもかかわらず、傷跡は全く分からない状態でした。
今回は当院で行った「ほくろ切除の長期的な経過」をご紹介いたします。
2017年 当時の症例と手術方法
患者さんは8年前、顔に10年以上前から有った黒子が徐々に大きくなってきたために、
切除を希望されて当院を受診されました。
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手術は局所麻酔下で行い、くりぬき法(パンチ切除法)により黒子を摘出しました。
皮膚を大きく切開することなく、最小限の侵襲で除去できるのがこの方法の特徴です。 -
術後は「なつい式湿潤療法」で創部をハイドロコロイドを用いて管理しました。
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消毒は一切行わず、毎日のシャワー・入浴も可能です。
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抗生物質は不要で、痛みもほとんどなく経過しました。
術後は経過良好で、2017年当時のブログには、
術前から術後1か月までの写真を掲載しています。
📌 2017年のほくろ切除症例(術後1か月までの経過)はこちら
術前~術後32日までの経過写真

術前:顔の黒子が大きくなり、切除を希望された50代男性。

術直後:局所麻酔で切除を行った直後の状態。

術後3日目:出血・感染なく順調に治癒中。消毒せず湿潤療法で管理。

術後6日目:出血・感染・痛みなし。消毒せず湿潤療法で管理。

術後15日目:出血・感染・痛みなし。創部は平坦化し、治癒良好。

術後22日目:出血・感染・痛みなし。傷はほぼ治癒しています。

術後32日目:痛み・感染なし。傷はきれいに治癒しています。
本日診察で確認できた「術後8年の状態」

術後8年:傷跡はほとんど目立たず、自然な仕上がりです。
8年ぶりに受診された際に診察したところ、手術跡はほとんど分からない状態で、
皮膚の色も質感も非常に自然な状態でした。
近くで見ても「どこを手術したのか」分からないほどで、
患者さんも「全く跡が分からなくなりました。」と大変喜ばれていました。
長期的にここまできれいに治癒している症例は、
患者さんにとって大きな安心材料になると感じています。
なぜ傷跡が残らなかったのか?
1. くりぬき法による低侵襲な手術
皮膚を大きく切開せず、黒子の範囲だけを丸くくりぬくため、
術後の傷跡が最小限で済みます。
2. なつい式湿潤療法による創部管理
消毒をせず、創部を乾燥させないことで、
皮膚が本来持つ「きれいに治す力」を最大限に引き出します。
毎日のシャワー・入浴が可能で、痛みも少なく、
自然にきれいに治癒していきます。
3. 抗生物質に頼らない適切な管理
感染兆候がない場合、当院では抗生物質は処方いたしません。
過剰な薬の使用は致しません。
よくあるご質問(FAQ)
Q. ほくろを切除すると傷跡は必ず残りますか?
A. 手術方法や術後の管理によって大きく差があります。
当院では「くりぬき法」と「なつい式湿潤療法」を併用することで、
長期的にも傷跡がほとんど残らない症例が多数あります。
Q. シャワーや入浴はいつから可能ですか?
A. 当院では術後すぐから可能です。
消毒は不要で、清潔を保ちながら自然に治癒していきます。
Q. 抗生物質は必要ですか?
A. 感染兆候がなければ不要です。多くの方が抗生物質なしで問題無く治癒します。
術前写真と術後8年写真の比較

術前(2017年):顔の黒子が大きくなり、切除を希望された50代男性。

術後8年(2025年):傷跡はほとんど目立たず、自然な仕上がりです。
まとめ
今回の症例では、ほくろ切除から8年が経過しても傷跡が全く残らない
という結果を得られました。
これは「くりぬき法による低侵襲な手術」と
「なつい式湿潤療法」による創部管理の成果です。
このように長期的に美しい治癒結果は、患者さんにとって大きな安心材料となります。
ほくろ切除後の傷跡や仕上がりに不安を感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。
📌 2017年のほくろ切除症例(術後1か月までの経過)はこちら
🖊️ 執筆者情報
執筆者:郡田 大宇 医師
(こおりたひろ整形形成外科クリニック 院長)
専門分野:整形外科・形成外科・熱傷・粉瘤手術
経験・実績: なつい式湿潤療法およびくりぬき法による手術症例多数。
すべての症例は院長自身が診察・手術・経過観察を行っております。