大阪市淀川区・新大阪にある
【こおりたひろ整形形成外科クリニック】院長の郡田です。
👩🦰 患者さんについて
患者さんは30代の女性。
アトピー性皮膚炎の治療を20年以上続けてこられましたが、
なかなか症状が改善せず、当院を受診されました。
🏥 これまでの治療では効果が乏しかった
長年、さまざまな医療機関でステロイドや保湿剤、
内服薬などの治療を受けてこられました。
しかし、思うように赤みやかゆみが改善されなかったとのことです。
特に「かゆみ」は日常生活に支障をきたすほどで、
ご本人にとって一番辛い症状でした。
💡 当院での治療内容は“ワセリンのみ”
当院で行った治療は、非常にシンプルです。
・ワセリンを塗布
・ひどい時は「ワセリンを塗ってラップを巻いて寝る」だけ
それだけで、数週間後には、
・赤みが明らかに軽減
・かゆみも大きく改善
と、ご本人から喜びの声をいただきました。
⚠️「クリーム剤」ではなく「軟膏」が大切です
患者さんがこれまで使用していた保湿剤を確認すると、
ほとんどが「クリーム剤」でした。
クリーム剤には界面活性剤(乳化剤)が含まれており、
これは簡単にいえば「洗剤」と同じようなもの。
肌のバリア機能が低下しているアトピー肌には、
むしろ刺激となってしまう可能性があります。
一方で、「軟膏(特にワセリン主体)」は、
・刺激が少なく、皮膚のバリアを守る
・水分を逃がさず、しっかり保湿できる
という大きなメリットがあります。
✅ 全ての治療が間違いだったわけではありません
もちろん、これまで受けてこられた治療が「間違っていた」
と一方的に否定するつもりはありません。
今がたまたま軽快するタイミングだった可能性も否定はできません。
ただ、それでも言えるのは:
❝「正しい保湿」だけで改善するアトピー性皮膚炎の方は、
実際にいらっしゃる❞
ということです。
🧠 長年よくならないなら「治療のシンプル化」も選択肢です
アトピー性皮膚炎は、長期にわたり様々な薬を試されてきた患者さんが多いです。
それでも改善しない場合、以下のような見直しが効果的なケースもあります:
・「治す」より「守る」ケアへ切り替える
・薬を足すのではなく、減らしてみる
・正しい保湿=ワセリン1本に絞る
当院では、そうした「なつい式湿潤療法」の考え方のもと、
少なくない患者さんの症状改善を見てきました。
🙏 最後に
長年、薬を使い続けても良くならないアトピー性皮膚炎の方へ。
一度、「ワセリンだけ」のシンプルな保湿ケアを試してみませんか?
肌は本来、回復する力を持っています。
それを「守る」だけでも、十分な効果が出ることがあります。
🌿 なつい式湿潤療法に関するよくあるご質問【FAQ】
Q1. なつい式湿潤療法とは何ですか?
A. 湿潤療法とは、傷を乾かさずに
「湿った環境を保つことで自然治癒力を最大限に助ける治療法」です。
消毒液やガーゼを使用せず、創傷を適度な湿度で保護することで痛みが少なく、
傷跡もきれいに治るのが特徴です。
当院では「なつい式湿潤療法」に基づいた方法で治療を行っています。
Q2. なぜ消毒をしないのですか?
A. 消毒液は細菌だけでなく、皮膚の治癒に必要な細胞まで殺してしまうため、
治りを遅くしたり、かえって傷跡を残しやすくなります。
なつい式湿潤療法では、
消毒はせず、皮膚が本来持っている再生能力を最大限助けて治します。
Q3. なつい式湿潤療法ではどんな処置をするのですか?
A. ハイドロコロイドやポリウレタンフィルムなどの
医療用の透明シールやパッドを使用し、傷を覆って湿潤環境を保ちます。
傷の種類に応じてワセリンを併用することもあります。
自宅では入浴・シャワーも基本的に可能です。
Q4. 痛みはありますか?
A. なつい式湿潤療法はガーゼ交換による「剥がすときの痛み」がありません。
また、傷の治癒も早いため、痛みが軽減されるケースが多いです。
痛み止めが不要なことも多く、お子様や高齢者にもやさしい治療法です。
Q5. 傷跡はきれいになりますか?
A. 傷の深さや場所によって個人差はありますが、
なつい式湿潤療法は乾燥させて治す方法に比べて、
傷跡が目立ちにくくなります。
特に顔など目立つ部位には適しています。
Q6. 毎日通院する必要はありますか?
A. 基本的には毎日通院する必要はありません。
ご自宅での処置方法(とっても簡単です)をご説明しますので、
セルフケアで管理が可能です。
ただし、傷の状態によっては数日に1度の通院が必要になることもあります。
Q7. 感染の心配はありませんか?
A. 適切に湿潤環境が保たれていれば、むしろ感染リスクは低くなります。
ただし、異常な痛みや腫れ・熱感・発赤などが出た場合は
すぐに受診してください。
Q8. 子どもにも適応できますか?
A. はい、なつい式湿潤療法は小さなお子様にも非常に適しています。
傷の痛みが少なく、ガーゼを無理に剥がす必要もないため、
治療のストレスが少なくなります。
当院では数多くのお子様の傷の治療実績があります。
Q9. なつい式湿潤療法が受けられる病院は限られているのですか?
A. はい、なつい式湿潤療法を積極的に導入している医療機関
はまだ多くはありません。
当院では、院長が豊富な症例経験に基づき、
すべての傷に対して湿潤療法を基本とした治療を行っています。
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