大阪市淀川区・新大阪にある【こおりたひろ整形形成外科クリニック】
院長の郡田です。
今回は、耳の裏にできた粉瘤(アテローム)に対して、9歳のお子さんに
局所麻酔での手術(くりぬき法)を行った症例をご紹介いたします。
◆患者さんについて
患者さんは9歳のお子さんです。
生後まもなくから耳の裏にしこりがあり、これまでずっと粉瘤だと診断されていたそうです。
今回、手術をご希望されて、当院を受診されました。
◆9歳の子どもでも局所麻酔で粉瘤手術が可能な理由
当院では、小児の粉瘤手術は通常、中学生以上を目安に局所麻酔を検討
しています。
しかしながら、今回の患者さんご本人が非常に落ち着いておられたため、
保護者の同意のもと、局所麻酔での手術を実施いたしました。
とはいえ、小さなお子さまの手術となると、
「局所麻酔で大丈夫なのか」「痛がらないか」「トラウマにならないか」
といったご不安を抱かれる保護者の方が多いのも事実です。
そこで当院では、年齢だけでなく、性格や受け答えの様子もしっかりと見極めたうえで、
局所麻酔の適応を判断しております。
実際に、今回の患者さんも非常にしっかりと受け答えされており、
保護者の方と一緒に十分ご納得いただいたうえで、治療に臨まれました。
◆耳裏粉瘤に対するくりぬき法と術後のなつい式湿潤療法
手術は、当院で日常的に行っている「くりぬき法」で実施しました。
この手術法は、切開を最小限に抑えながら、粉瘤の袋(被膜)を確実に取り除く
ことができるため、傷跡をできるだけ小さく、きれいに治したい
という方には特におすすめです。
そのため、顔や耳まわりなど、目立ちやすい部位にある粉瘤にも適しています。
また、術後の創部は「なつい式湿潤療法」に基づいて管理しています。
この療法では、乾燥させずに傷を保湿しながら治すため、
痛みやかゆみが少なく、治癒も早いという利点があります。
術後の管理内容は以下のとおりです。
・一切消毒は行っておりません
・感染兆候がなかったため、抗生物質も処方しておりません
さらに、手術当日からシャワー・入浴もOKです
つまり、日常生活に大きな支障をきたすことなく、
快適に治療を進めていただけるのです。
◆術後の経過
術後は感染や腫れもなく、非常に順調に治癒しました。
結果として、傷跡も目立ちにくく仕上がり、保護者の方にも大変ご安心いただけました。
◆まとめ|子どもの粉瘤も年齢・性格に応じて日帰り手術が可能です
「子どもに麻酔や手術は大丈夫だろうか?」
と不安に思われる保護者の方は多いかと思います。
しかし、状態や性格に応じては、小児でも局所麻酔で安全に粉瘤手術が可能です。
実際に、手術後には保護者の方から、
「思ったより本人が平気そうで安心した」
「痛がる様子もなく、テープだけでここまできれいになるとは驚いた」
といったお声をいただいております。
さらに、当院では術後のフォローアップにおいても、
ご家庭の負担を最小限に抑えるよう努めております。
必要最小限の通院で済むよう調整し、遠方からお越しの方でも
安心して治療を受けていただける体制を整えています。
このように、当院ではくりぬき法による低侵襲な手術と、
なつい式湿潤療法によるやさしい創部管理を組み合わせることで、
お子さまにも負担の少ない、早く・きれいに治る治療をご提供しています。
🔵 粉瘤(アテローム)に関するよくあるご質問(FAQ)
Q1. 粉瘤とは何ですか?
A.
粉瘤(ふんりゅう、アテローム)とは、皮膚の下にできる袋状の良性腫瘍です。
中には皮脂や角質が溜まっており、自然に消えることはほとんどありません。
放置すると炎症を起こし、腫れ・痛み・膿が出ることがあります。
Q2. 粉瘤は自然に治りますか?
A.
自然に治ることは基本的にありません。
小さくなることがあっても、内部の袋(被膜)が残るため、
再発することが多いです。
再発予防には手術による摘出が必要です。
Q3. 炎症があるときは手術できないのですか?
A.
他院で「炎症があると手術できない」と言われることがありますが、
当院では炎症があっても「くりぬき法」による手術が可能です。
むしろ早期の手術により、痛みや腫れが早く改善します。
Q4. 抗生物質では治らないのですか?
A.
炎症が強い粉瘤には抗生物質は無効です。
なぜなら、炎症は袋の内部で起きており、その袋には血流がないため、
薬の効果が届かないからです。
よって、袋ごと手術で取り除くことが根本的な治療になります。
Q5. 手術はどんな方法ですか?
A.
当院では「くりぬき法」という方法を用いて、できるだけ小さい傷で
袋(被膜)まで完全に取り除きます。
傷跡も非常に小さく、術後の痛みも最小限です。
Q6. 術後の処置はどのように行いますか?
A.
なつい式湿潤療法という方法で、傷を乾かさずに治す処置を行っています。
・消毒しません
・ガーゼ交換不要
・シャワー・入浴も翌日からOK
・抗生物質も基本的に処方しません
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Q7. 術後に再発することはありますか?
A.
袋を完全に摘出できれば再発はほとんど御座いません。
当院では術中に被膜をしっかり取り除くことを重視しています。
Q8. 手術後の痛みや腫れはどの程度ありますか?
A.
炎症が強かった症例でも、術後の痛みは少ないケースがほとんどです。
多くの患者様が「想像していたより痛くない」と話されます。
Q9. 粉瘤が小さいうちに手術した方が良いですか?
A.
はい、小さいうちに手術することで、傷跡も小さく、
手術時間や回復も短く済みます。
炎症が起きてからでは、痛みも強く治療が複雑になります。
Q10. 粉瘤の手術は健康保険が使えますか?
A.
はい、粉瘤の手術は保険診療の対象です。
手術の規模や部位により、負担額が異なる場合があります。