【症例紹介】猫に咬まれて悪化した足趾の傷をナイロン糸ドレナージで治療|表面の消毒では治りません
こんにちは。
大阪市淀川区・新大阪にある【こおりたひろ整形形成外科クリニック】院長の郡田です。
今回は、猫に足の指を咬まれて受傷し、痛みが強くなってきた40代の患者さんが、ナイロン糸ドレナージ法により短期間で改善された症例をご紹介いたします。
🔹 初診時の状況|飼い猫に咬まれて腫れと痛みが悪化
患者さんは40代の方です。
飼っている猫に左足の第一趾(足の親指)を咬まれて受傷されました。
受傷後、痛みがどんどん強くなってきたため、過去に当院で治療を受けたことのあるご友人からの勧めで、当院を受診されました。
🔹 当院での治療|ナイロン糸ドレナージ法
当院では、ナイロン糸ドレナージ法を用いて治療を行いました。
この方法は、細くて深い咬傷に対し、傷の奥にたまった膿や浸出液を安全に排出する方法です。
-
ナイロン糸を傷の深部に挿入し、ドレナージを確保
-
消毒は一切行いません(※意味がないため)
-
2日後にナイロン糸を抜去しました
糸を挿入した直後から、患者さんは「痛みが軽くなった」と実感されていました。
🔹 なぜ、動物咬傷に「消毒+抗生物質」では治らないのか?
多くの医療機関では、動物に咬まれた際に、
-
表面を消毒する
-
抗生物質を処方する
といった対応が一般的です。
しかし実際には、これでは治らず悪化して来院される患者さんが後を絶ちません。
その理由は明確です:
🔻 動物咬傷が治らない理由
-
動物の歯は細くて鋭く、深く刺さるため、傷は「狭く深い」構造になります
-
感染が起こるのは皮膚の表面ではなく、歯が刺さった深部
-
その深い部分にたまった膿(浸出液)を排出しない限り、傷は治らない
🔹 ナイロン糸ドレナージの効果とシンプルさ
当院で行うナイロン糸ドレナージは、とてもシンプルです:
-
ナイロン糸を傷口に軽く挿入するだけ
-
数日後に抜去(この症例では2日目)
-
痛みが早期に改善し、膿も自然に排出
消毒や抗生物質は使用せず、なつい式湿潤療法を活かして治療致します。
✅ まとめ|動物に咬まれたら、消毒よりも「排膿」が大切です
-
猫や犬に咬まれた傷は深く、感染源は皮膚表面ではなく奥にあります
-
消毒や抗生物質だけでは改善せず、悪化することも
-
当院では、ナイロン糸ドレナージ法により早期に痛みを軽減し、治癒を促進しています
動物に咬まれて腫れ・痛みが続いている方、他院での処置に不安がある方は、ぜひ当院へご相談ください。
「消毒なし・痛みの少ない」正しい治療をご提供いたします。

初診時

初診時(ナイロン糸挿入)

加療後2日(ナイロン糸抜去)

加療後6日