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炎症性粉瘤に抗生物質は効きません|効果がない理由と治療法

術中

「抗生物質で様子を見ましょう」は本当に正しいのか?

──炎症性粉瘤を抱えて他県から来院された患者さんの症例より──


今回は、炎症を伴う粉瘤(アテローム)に対して抗生物質を処方されたが、
一向に改善せず、当院を受診された患者さん
の症例をご紹介いたします。


👤 患者さんについて

患者さんは40代の方。
3年ほど前から背中に粉瘤がありましたが、2週間ほど前から徐々に赤く腫れ、
痛みが出てきたため、近隣の〇〇皮膚科を受診されました。
その際、「炎症を抑えるために」と抗生物質が処方されたそうですが、
症状はまったく改善せず、痛みも引かなかったとのことです。


💊 抗生物質は本当に必要だったのか?

粉瘤の袋(被膜)の内部には血管がありません
つまり、どんなに強い抗生物質を使っても、その中には届きません
加えて、抗生物質は腸内細菌や膣内常在菌など、私たちの体を守る善玉菌まで殺してしまいます。
腸内細菌が減れば下痢
膣内常在菌が減ればカンジダ症になりやすくなる
子どもであれば肌荒れ・体調不良も引き起こす可能性があります
それでもなお、「予防のために出しておきますね」
という理由で抗生物質を処方する医療機関は少なくありません。
しかし私は、それは有害無益な処方
だと考えています。


🧠 予防目的の抗生物質は不要です

抗生物質は「感染を起こしたときに使うもの」です。
「感染するかもしれないから飲んでおこう」は、
言い換えれば「将来がんになるかもしれないから、今日から抗がん剤を飲もう」
と言っているのと同じです。
実際、当院では術後の感染予防目的で抗生物質を処方することはありません
感染した場合にのみ、必要最小限で処方いたします。


🛠️ 当院での治療について

当院では、この方に対してくりぬき法で手術を行いました。
袋(被膜)もきちんと摘出できたため、再発の可能性は極めて低いです。
また、術後の創部は「なつい式湿潤療法」で管理しています。
・一切、消毒はしません
・一切、ガーゼを詰めたりしません
・抗生物質も処方しません
・術後も毎日、シャワー・入浴OKです
患者さんは術後も快適に過ごされ、感染も起きずに順調に治癒されました。


✨ 最後に|抗生物質「ありき」ではなく、「本当に必要か?」を見直して

粉瘤に対して「とりあえず抗生物質」「とりあえず様子見」
という方針が、

かえって患者さんの症状を悪化させることがあります。
必要なのは、薬ではなく手術であり、
正しい術式と術後ケアであれば、抗生物質に頼る必要は全くありません
炎症が強くても、安全に、的確に手術ができることを、ぜひ知っていただければと思います。

術前

術前

術中

術中

術直後

術直後

摘出された粉瘤

摘出された粉瘤

術後1日

術後1日

術後5日

術後5日

術後12日

術後12日

術後22日

術後22日

🔵 粉瘤(アテローム)に関するよくあるご質問(FAQ)


Q1. 粉瘤とは何ですか?

A.
粉瘤(ふんりゅう、アテローム)とは、皮膚の下にできる袋状の良性腫瘍です。
中には皮脂や角質が溜まっており、自然に消えることはほとんどありません。
放置すると炎症を起こし、腫れ・痛み・膿が出ることがあります。


Q2. 粉瘤は自然に治りますか?

A.
自然に治ることは基本的にありません。
小さくなることがあっても、内部の袋(被膜)が残るため、
再発することが多いです。

再発予防には手術による摘出が必要です。


Q3. 炎症があるときは手術できないのですか?

A.
他院で「炎症があると手術できない」と言われることがありますが、
当院では炎症があっても「くりぬき法」による手術が可能です。
むしろ早期の手術により、痛みや腫れが早く改善します。


Q4. 抗生物質では治らないのですか?

A.
炎症が強い粉瘤には抗生物質は無効です
なぜなら、炎症は袋の内部で起きており、その袋には血流がないため、
薬の効果が届かないからです。

よって、袋ごと手術で取り除くことが根本的な治療になります。


Q5. 手術はどんな方法ですか?

A.
当院では「くりぬき法」という方法を用いて、できるだけ小さい傷で袋(被膜)まで完全に取り除きます。
傷跡も非常に小さく、術後の痛みも最小限です。


Q6. 術後の処置はどのように行いますか?

A.
なつい式湿潤療法という方法で、傷を乾かさずに治す処置を行っています。
・消毒しません
・ガーゼ交換不要
・シャワー・入浴も翌日からOK
・抗生物質も基本的に処方しません


Q7. 術後に再発することはありますか?

A.
袋を完全に摘出できれば再発はほとんど御座いません。
当院では術中に被膜をしっかり取り除くことを重視しています。


Q8. 手術後の痛みや腫れはどの程度ありますか?

A.
炎症が強かった症例でも、術後の痛みは少ないケースがほとんどです。
多くの患者様が「想像していたより痛くない」と話されます。


Q9. 粉瘤が小さいうちに手術した方が良いですか?

A.
はい、小さいうちに手術することで、傷跡も小さく、手術時間や回復も短く済みます。
炎症が起きてからでは、痛みも強く治療が複雑になります。


Q10. 粉瘤の手術は健康保険が使えますか?

A.
はい、粉瘤の手術は保険診療の対象です。
手術の規模や部位により、負担額が異なる場合があります。

よくあるご質問(FAQ)

Q. 粉瘤は炎症があっても手術できますか?
A. はい。当院では炎症がある状態でも「くりぬき法」で日帰り手術が可能です。

Q. 消毒や抗生物質は使わないのですか?
A. いいえ。当院ではなつい式湿潤療法により、消毒・抗生物質なしでも感染せず治癒できます。

Q. 手術後はいつからシャワーや入浴ができますか?
A. シャワーは手術当日から可能です。翌日からは入浴もOKです。

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