「どうしようもない」と言われた1歳の手のやけど──それでも私たちは治療をあきらめません
大阪市淀川区・新大阪にある
【こおりたひろ整形形成外科クリニック】院長の郡田です。
今回ご紹介するのは、1歳の可愛らしい女の子のやけど治療についてです。
👶 お子さんの手に熱湯が…そして「どうしようもない」の一言
ある日、不意に熱湯が手にかかり、やけどを負ってしまった1歳の女の子。
ご両親はすぐに、地元の〇〇病院を受診されました。
しかし、医師から言われたのは、
「どうしようもない。軟膏とガーゼで何とかしてください」
という、あまりに突き放すような言葉だったそうです。
不安でいっぱいの中、処方された軟膏を手に、
「本当にこのままでいいのか?」という疑問を持たれたご家族は、
インターネットで調べに調べ、「なつい式湿潤療法」の存在を知り、
遠方から当院まで足を運んでくださいました。
💧 当院での処置|湿潤療法で正しく、やさしく
当院では、以下のような手順で処置を行いました。
1.水疱膜(火傷の際にできる薄い皮)は感染源となるため、丁寧に切除
2.ハイドロコロイド(湿潤ドレッシング)で創部を保護
3.消毒は一切行わず、なつい式湿潤療法を実践
その結果…
・感染状態にはなりませんでした
・抗生物質も処方しておりません
・毎日、シャワー・入浴OKです
治療中、お子さんが泣くこともなく、ご家族もとても安心されたご様子でした。
🌱「小さな手」だからこそ、優しい治療を
お子さんのやけど治療は、その子の一生に関わる問題です。
「痛み」「傷あと」「植皮」「精神的トラウマ」──
適切な初期対応が、そのすべてに影響を及ぼします。
なつい式湿潤療法は、
消毒しない・乾かさない・痛くない
という原則で、皮膚の再生力を最大限に助ける治療法です。
お子さんにも、保護者の方にも、
優しく、安心して受けていただける方法です。
📝 最後に
「どうしようもない」と言われた傷も、
あきらめなければ、治す道は残されています。
小さな手に傷あとを残さないために。
お子さんが「痛くない」治療を受けられるように。
一人でも多くのご家族に、
「なつい式湿潤療法」という選択肢があることを知っていただければ幸いです。

初診時

初診時(水疱膜切除後)

加療後2日

加療後7日

加療後17日