💠 顔の粉瘤を「手術しない方が良い」と言われて…
患者さん:50代 女性
部位:右頬
右頬に粉瘤(アテローム)ができたため、地元の形成外科を受診されました。
しかし、医師からは
「顔は傷跡が残るから、粉瘤の手術はしない方が良い」
と説明を受け、手術してもらえなかったそうです。
その後、粉瘤は少しずつ大きくなり、見た目が気になるようになったため、
「顔の粉瘤でもきれいに治せる医療機関」を探してネットで検索され、
ご遠方から当院を手術目的で受診されました。
💠 当院の治療方針
お顔の粉瘤でも、適切な方法を用いれば安全に摘出可能です。
当院では、傷跡を最小限に抑えるために
「くりぬき法(最小切開パンチ法)」を採用しています。
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被膜まで確実に除去するため、再発率は1%未満(確認症例ベース)
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手術時間は約15分、縫合不要・局所麻酔のみ
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術後はなつい式湿潤療法で創部を管理
💧 なつい式湿潤療法による創部管理
術後の創部は、消毒もガーゼも使用しません。
ハイドロコロイド材で湿潤環境を保つことで、
痛みを抑え・感染を防ぎ・きれいな皮膚再生を促します。
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消毒なし
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抗生物質なし(感染兆候がないため)
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手術翌日からシャワー・入浴OK
📸 術後経過と結果
手術直後はやや赤みがありますが、経過は順調でした。

右頬にできた粉瘤の術前写真(50代女性)。他院で手術を断られたが、当院でくりぬき法により摘出を予定。

右頬の粉瘤(50代女性)をくりぬき法で摘出中。被膜と内容物を同時に排出している様子。

右頬の粉瘤摘出直後の写真(50代女性)。くりぬき法でほぼ出血は認められない状態。

右頬の粉瘤摘出標本(50代女性)。くりぬき法により、被膜ごと完全に摘出されています。

右頬の粉瘤摘出後4日目(50代女性)。出血・痛み・腫れはなく、創部は上皮化が始まっています。

右頬の粉瘤摘出後11日目(50代女性)。出血・痛み・腫れはなく、創部はほぼ治癒しています。
術後6年後、別件で当院を受診された際に写真を撮影させていただきました。

右頬の粉瘤摘出から6年後(50代女性)。傷跡はほとんど分からず、違和感もありません。
写真を見ると、
「どこを手術したのか分からないほどきれい」
と感じるほど、傷跡は自然な仕上がりでした。
患者さんからは、
「最初はどうなるかと思いましたが、あの時手術をお願いして本当に良かったです」
というお言葉をいただきました。
医師としてとても嬉しい瞬間でした。
🔍 FAQ(よくある質問)
Q. 顔の粉瘤は手術すると必ず傷が残りますか?
A. 傷跡が「全くゼロ」にはなりませんが、
くりぬき法+湿潤療法を組み合わせることで、
時間とともにほとんど分からなくなります。
Q. 顔の粉瘤でも炎症があっても手術できますか?
A. はい。炎症がある場合も多くの症例で安全に摘出可能です。
早めの受診をお勧めします。
Q. 手術後の通院回数はどのくらいですか?
A. 手術した翌日は、止血剤を抜去するために受診して下さい。
その後は、特に症状が無ければ週1回程度を3回ほどの通院が理想です。
Q. くりぬき法で、術後に再発する可能性はありますか?
A. 当院では、年間約500例・累計6,000例以上の粉瘤手術を行っています。
当院で把握している範囲内での再発率は1%以下です。
くりぬき法で被膜までしっかり除去致しますので、極めて再発が少ない治療法です。
ただし、くりぬき法は術者の経験と技術によって結果が大きく異なるため、
慎重な手術操作が求められます。
Q. 手術時間は本当に15分程度で終わりますか?
A.はい。粉瘤の大きさによって多少前後しますが、
平均10〜15分ほどで終了します。
🖊️ 執筆者情報
執筆者:郡田 大宇 医師
(こおりたひろ整形形成外科クリニック 院長)
専門分野:整形外科・形成外科・熱傷・粉瘤手術
経験・実績:粉瘤手術を中心に累計6,000件(年間約500件)以上の手術実績。
粉瘤、ケガ、やけどなど、くりぬき法・なつい式湿潤療法
による症例をブログに1,000例以上掲載しています。
すべての症例は院長自身が診察・手術・経過観察を行っています。
















