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ばい菌がいたら感染?違います。

 当院は、湿潤療法を希望されて「傷」「熱傷」の患者さんが多く御受診されます。

ほとんどの患者さんは、最初に行かれた医療機関での従来通りの治療法に疑問を持たれて、色々と調べられ当院を御受診される患者さんです。

よって、従来通りの治療法を受けてこられた患者さんがほとんどです。

従来通りの治療法とは、

「消毒」

「ガーゼ」

「感染予防の為に抗生物質」

です。100%と言って良いくらいです。

しかし、湿潤療法とは

「消毒しません」

「傷に直接ガーゼあてません」

「感染していなければ抗生物質処方しません」

です。

今までの治療法とは、全く真逆です。

 湿潤療法を実践している医師は、むやみやたらと抗生物質を処方致しません。

抗生物質を処方するときは、「感染」している場合のみです。

 では、「感染」とは、いったいどんな状況なのでしょうか。

簡単に言えば、「ばい菌が異常繁殖した状態」です。

ここで重要なことは、「ばい菌が居る状態」ではないという事です。

「異常増殖」なのです。

異常増殖した場合は「疼痛、腫脹、熱感、発赤」が創部に認められます。この4徴候がそろって、初めて感染と言えるのです。

そうなった場合は、抗生剤の内服が必要となって参ります。

しかし、残念ながら細菌が異常増殖していないにも関わらず抗生物質が処方されている事が非常に多いです。

 当院では、粉瘤(アテローム)摘出術も多いのですが、術後も感染状態にならなけれは、抗生剤は処方いたしません。術後、感染状態になられた場合は処方いたしますが、「感染すると嫌だから、抗生剤内服しておいてね。」という処方の仕方は致しません。なぜなら、抗生物質を内服する事が感染予防にはならないからです。感染予防にならないどころか、体を守ってくれている皮膚常在菌が抗生剤を内服する事によって殺されますので、かえって感染しやすい状態になってしまいます。

 抗生物質の内服は、感染してからするものであって、感染予防目的にて内服してはいけません。

 ちなみに、当院では、この1年間で粉瘤の手術は300例ほど、傷、熱傷の患者さんは数百人治療させて頂いておりますが、抗生物質を処方した患者さんは2人です。

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