粉瘤(アテローム)に抗生物質は無効|
くりぬき法で治療、術後5年後も傷跡ほぼゼロ(40代女性)
今回は、首にできた粉瘤(アテローム)に抗生物質が処方されたものの
効果がなく、最終的にくりぬき法で治療された
40代女性の症例をご紹介します。
術後5年が経過しても傷跡はほとんど分からず、
再診の際に喜びのお声をいただけた印象深いケースです。
👤 患者さんについて
患者さんは40代の女性です。
約1年前から頚部(首)に粉瘤(アテローム)があることに
気づいていたそうですが、特に症状がなかったため様子を見ていたとのこと。
しかし、半年前から徐々に腫れが大きくなってきたため、
手術目的で近隣の〇〇皮膚科を受診されました。
💊 「抗生物質で治る」と言われたが…
診察した医師からは、
「この程度の大きさなら抗生物質で治りますよ」
と説明を受け、1週間分の抗生物質が処方されたそうです。
ところが、内服を続けても症状は全く改善せず、
むしろ腫れがさらに大きくなってきたため、
「これはおかしい」とご自身で調べられ、
当院を手術目的で受診されました。
❗ 抗生物質が粉瘤に効かない理由
粉瘤は皮膚の下に袋状の構造(嚢腫)を形成しており、
袋の中には血管がありません。
そのため、どれだけ抗生物質を飲んでも、
その薬の成分は粉瘤の内部には届かないのです。
抗生物質では根本的な治療にはならず、
最も有効なのは外科的に袋ごと取り除くこと=手術です。
🩺 手術と術後の経過
当院では、くりぬき法にて粉瘤を摘出しました。
術後の創部は、なつい式湿潤療法で処置を行いましたので、
・一度も消毒は行っていません
・抗生物質も処方していません
・毎日のシャワー・入浴もOKで、日常生活に制限はありません
創部は約3週間ほどで綺麗に治癒しました。
📸 5年後の再診と再手術
約5年後、別の部位に粉瘤ができたため、再度当院を受診されました。
その際、以前に手術を行った頚部の写真を撮影させていただきました。
患者さんはこうおっしゃいました:
「もうどこを手術したのか、全く分からないです。
本当に綺麗に治していただき、ありがとうございました。」
その後、新たな粉瘤もくりぬき法で安全に摘出し、同様に綺麗に治癒しました。
✅ まとめ
・抗生物質では粉瘤(アテローム)の根本治療はできません
・くりぬき法+なつい式湿潤療法により、
傷跡を最小限に抑えた安全な治療が可能
・再診の際にも、「どこを手術したか分からない」
と言われるほどの綺麗な治癒結果
同じようにお悩みの方は、早めの手術をご検討ください。

頚部粉瘤(アテローム)の術前状態。他院では抗生物質による保存的治療が行われたが、効果がなく当院での手術を希望されました。

くりぬき法で手術中の頚部粉瘤(アテローム)。袋(被膜)が出てきているところです。

術直後の頚部粉瘤(アテローム)。くりぬき法で摘出し、出血はごくわずかでした。

摘出された頚部粉瘤(アテローム)の被膜。袋状のまま取り出されています。

粉瘤(アテローム)摘出手術の翌日(術後1日目)の写真。腫れ、出血、感染傾向は認められず、痛みも軽微です。

術後4日目の写真。腫れ・出血・感染傾向・痛みは一切認められず、傷はなつい式湿潤療法にて順調に治癒しています。

術後19日目の状態。腫れや出血、感染はなく、痛みも消失。傷はほぼ治っており、非常に良好な経過です。

術後5年目の状態。再発や違和感は一切なく、傷跡もほぼわからないほどに治癒しています。
【こおりたひろ整形形成外科クリニックについて】
当院(大阪市淀川区・新大阪駅すぐ)では、
粉瘤(アテローム)のくりぬき法による日帰り手術をはじめ、
なつい式湿潤療法による傷跡を最小限に抑える治療を行っております。
痛みや腫れが強い炎症性粉瘤、
他院で手術を断られた症例にも対応可能です。
術後は消毒不要・ガーゼ不要・シャワーOKで、
日常生活への影響を最小限に抑えられます。
粉瘤の治療をご検討中の方は、ぜひ一度ご相談ください。
🔵 粉瘤(アテローム)に関するよくあるご質問(FAQ)
Q1. 粉瘤とは何ですか?
A.
粉瘤(ふんりゅう、アテローム)とは、皮膚の下にできる袋状の良性腫瘍です。
中には皮脂や角質が溜まっており、自然に消えることはほとんどありません。
放置すると炎症を起こし、腫れ・痛み・膿が出ることがあります。
Q2. 粉瘤は自然に治りますか?
A.
自然に治ることは基本的にありません。
小さくなることがあっても、内部の袋(被膜)が残るため、
再発することが多いです。
再発予防には手術による摘出が必要です。
Q3. 炎症があるときは手術できないのですか?
A.
他院で「炎症があると手術できない」と言われることがありますが、
当院では炎症があっても「くりぬき法」による手術が可能です。
むしろ早期の手術により、痛みや腫れが早く改善します。
Q4. 抗生物質では治らないのですか?
A.
炎症が強い粉瘤には抗生物質は無効です。
なぜなら、炎症は袋の内部で起きており、その袋には血流がないため、
薬の効果が届かないからです。
よって、袋ごと手術で取り除くことが根本的な治療になります。
Q5. 手術はどんな方法ですか?
A.
当院では「くりぬき法」という方法を用いて、できるだけ小さい傷で
袋(被膜)まで完全に取り除きます。
傷跡も非常に小さく、術後の痛みも最小限です。
Q6. 術後の処置はどのように行いますか?
A.
なつい式湿潤療法という方法で、傷を乾かさずに治す処置を行っています。
・消毒しません
・ガーゼ交換不要
・シャワー・入浴も翌日からOK
・抗生物質も基本的に処方しません
▶ なつい式湿潤療法ブログ一覧を見る
Q7. 術後に再発することはありますか?
A.
袋を完全に摘出できれば再発はほとんど御座いません。
当院では術中に被膜をしっかり取り除くことを重視しています。
Q8. 手術後の痛みや腫れはどの程度ありますか?
A.
炎症が強かった症例でも、術後の痛みは少ないケースがほとんどです。
多くの患者様が「想像していたより痛くない」と話されます。
Q9. 粉瘤が小さいうちに手術した方が良いですか?
A.
はい、小さいうちに手術することで、傷跡も小さく、
手術時間や回復も短く済みます。
炎症が起きてからでは、痛みも強く治療が複雑になります。
Q10. 粉瘤の手術は健康保険が使えますか?
A.
はい、粉瘤の手術は保険診療の対象です。
手術の規模や部位により、負担額が異なる場合があります。
※当院のブログは、すべて院長が自ら執筆しております。
SEO対策業者の皆様から数多くご連絡を頂きますが、
今後も自院の実際の症例に基づき、
院長が責任をもって情報発信を続けてまいります。
どうぞご理解いただきますようお願い申し上げます。