右耳前部にできた粉瘤(アテローム)の症例です。
20年以上前から存在していた耳前の粉瘤(アテローム)を、
くりぬき法で摘出した手術動画です。
粉瘤は皮膚の下に袋(嚢胞壁)が形成され、
その内部に角質などの内容物がたまる良性腫瘍です。
内容物だけを出しても袋(嚢胞壁)が残ると再発するため、
袋を含めて摘出することが重要です。
当院では、くりぬき法による低侵襲手術を行い、
術後の創傷管理はなつい式湿潤療法で行っています。
※患者さんの同意を得たうえで、医療・教育目的として公開しています。
症例
患者さんは70代女性です。
右耳の前にできた粉瘤(アテローム)が、
20年以上前から存在していたそうです。
「顔なので傷跡が心配」と様子を見られていたそうです。
今回は、お母さまを心配された娘さんがインターネットで
当院の症例ブログを見つけてくださり、受診されました。
術前

顔にできた粉瘤(アテローム)の術前写真。くりぬき法による粉瘤摘出手術を予定。
右耳前部に粉瘤(アテローム)を認めます。
20年以上前から存在していたそうです。
手術
手術はくりぬき法で行いました。
小さな孔から粉瘤の袋(嚢胞壁)を摘出する方法で、
体への負担が少ない手術方法です。
摘出された粉瘤

くりぬき法による粉瘤摘出手術で摘出された粉瘤(アテローム)。内容物と被膜(嚢胞壁)。
粉瘤は内容物だけでなく、袋(嚢胞壁)を含めて摘出することが重要です。
術直後

くりぬき法による粉瘤摘出手術直後の創部。出血はほとんど認められない。
くりぬき法は小さな穴から袋を抜き出すため、
従来の切開法に比べて、出血や痛みを抑えやすい手術方法です。
術後8日

くりぬき法による粉瘤摘出手術後8日目の創部。痛みや腫れ、出血は認められない。
術後15日

くりぬき法による粉瘤摘出手術後15日目。なつい式湿潤療法により創部はほぼ治癒している。
術後の創部はなつい式湿潤療法で管理しました。
消毒は行っておらず、抗生物質も処方していません。
術直後から痛みはほとんどなく、毎日シャワーや入浴も可能でした。
術後の経過は非常に良好で、約2週間で創部はきれいに治癒しました。
患者さんにも大変喜んでいただきました。
手術方法だけでなく、術後管理も含めて、慎重に治療を選択することが大切です。
粉瘤(アテローム)に関するよくある質問
Q1. 粉瘤(アテローム)とは何ですか?
A.
粉瘤(アテローム)は、皮膚の下に袋状の構造(被膜)ができ、
その中に角質や皮脂がたまる良性の腫瘍です。
自然に治ることはなく、内容物だけを出しても被膜が残っていると再発します。
Q2. 炎症を起こして赤く腫れていても手術はできますか?
A.
はい、炎症が強い状態でも手術が可能な場合があります。
炎症があるからといって、必ずしも抗生物質だけで様子を見る必要はありません。
状態を見極めたうえで、適切に被膜を摘出できれば、再発を防ぐことができます。
Q3. 粉瘤は抗生物質で治りますか?
A.
抗生物質で粉瘤そのものが治ることはありません。
抗生物質は感染が成立した場合に使用する薬であり、被膜を消すことはできません。
根本的な治療には、被膜ごと摘出する手術が必要です。
Q4. くりぬき法とはどのような手術ですか?
A.
くりぬき法は、最小限の皮膚切開で粉瘤の被膜を摘出する手術方法です。
必要以上に皮膚を切らないため、体への負担や傷跡を抑えやすいのが特徴です。
Q5. 首(頚部)の粉瘤は傷跡が残りやすいですか?
A.
頚部は皮膚の動きが大きく、一般的には傷跡が目立ちやすい部位です。
しかし、手術方法と術後管理を適切に行うことで、
長期的には傷跡がほとんど分からなくなることもあります。
Q6. 粉瘤手術後は消毒が必要ですか?
A.
当院では、術後の創部管理としてなつい式湿潤療法を行っています。
この方法では、消毒は行いません。
(創部に消毒を行うと、激痛です。)
創部を乾燥させず、湿潤な環境を保つことを重視しています。
Q7. 手術当日からシャワーや入浴はできますか?
A.
はい、手術当日からシャワー・入浴が可能な場合が多いです。
創部の状態や部位によって指示が異なることがありますので、
必ず医師の説明に従ってください。
Q8. 粉瘤は再発しますか?
A.
被膜が残っている場合は再発します。
一方で、被膜ごと完全に摘出できていれば、再発の可能性は非常に低くなります。
そのため、手術方法と確実な被膜摘出が重要です。
Q9. 粉瘤の手術はどのくらいで治りますか?
A.
術後の経過には個人差がありますが、
多くの場合、数週間で創部は落ち着き、数か月かけて傷跡が目立たなくなります。
さらに年単位で経過を見ると、傷跡が分からなくなることもあります。
Q10. 粉瘤は放置しても大丈夫ですか?
A.
放置すると、突然炎症を起こして腫れや痛みが出ることがあります。
炎症を繰り返すと、手術が難しくなったり、傷跡が残りやすくなることもあります。
気づいた時点での早めの相談をおすすめします。
Q11. 他院で「様子を見る」と言われましたが、相談できますか?
A.
はい、可能です。
治療方針は医療機関によって異なります。
「本当に手術はできないのか」「他の選択肢はないのか」
といった疑問がある場合、別の視点での診察を受けることも一つの選択です。
Q12. どの医療機関で粉瘤手術を受ければよいですか?
A.
粉瘤は一見簡単に見える疾患ですが、
再発・傷跡・長期経過まで考えると、
経験と考え方が結果に大きく影響します。
手術方法や術後管理について、
きちんと説明してくれる医療機関を選ぶことが大切です。
当院の治療理念:なつい式湿潤療法
「なつい式湿潤療法」は、日本の形成外科医であり、
湿潤療法の第一人者として高く評価されている
夏井睦先生 によって確立された治療法です。
この治療法は、消毒やガーゼを使用せず、創部を湿潤環境に保つことで、
痛みを最小限に抑え、治癒を促進します。
当院では、夏井先生の効果的な治療理念に基づいた創傷管理を実践しています。
▶ 夏井睦先生公式サイト「新しい創傷治療」
※当院のブログは、すべて院長が自ら執筆しております。
SEO対策業者の皆様から数多くご連絡を頂きますが、
今後も自院の実際の症例に基づき、
院長が責任をもって情報発信を続けてまいります。
どうぞご理解いただきますようお願い申し上げます。
本記事は、粉瘤および創傷治療に関する医学的知見を、
一般の方にも理解できるよう整理し、共有することを目的として作成しています。
実際の治療方針は、病変の状態、患者さんの背景、
ならびに診察所見を踏まえ、個別に判断されるべきものです。
当院では、本文中で述べた治療法を含め、
診察のうえで適応の有無を判断しています。
本記事の内容について、診察を通じて医学的判断が必要な場合には、
診療時間内に受診していただくことで対応可能です。
🖊️ 執筆者情報
執筆者:郡田 大宇 医師
(こおりたひろ整形形成外科クリニック 院長)
専門分野:整形外科・形成外科・熱傷・粉瘤手術
経験・実績:粉瘤手術を中心に累計6,000件(年間約500件)以上の手術実績。
粉瘤、ケガ、やけどなど、くりぬき法・なつい式湿潤療法による症例を
ブログに1,000例以上掲載しています。
すべての症例は院長自身が診察・手術・経過観察を行っています。
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