「粉瘤を取りたいけれど、顔に傷跡が残るのが心配」
──これは、頬の粉瘤で受診される方の多くが抱える不安です。
今回は、当院で頬の粉瘤をくりぬき法で手術し、
その7年後の状態を確認できた40代男性の症例をご紹介します。
まず、手術から7年が経過した今の頬をご覧ください。

術後7年:手術した部位がどこか分からないほど、傷跡はなじんでいます。
どこを手術したのか、ほとんど分からないのではないでしょうか。
実はこの患者さん自身も、再来院された際に
「先生、前回きれいに治していただいたので、また来ました。
でも、どこを手術したのか自分でも分かりません」とお話しされていました。
約1年前から大きくなってきた、左頬のでき物
この患者さんが最初に受診されたのは、今から7年前のことです。
約1年前から左頬にでき物があることに気づき、
最近になって少しずつ大きくなってきたため、
「傷跡がきれいに治るクリニック」
をインターネットで探して当院を受診されました。

術前:左頬の粉瘤。約1年前から出現し、最近大きくなってきたため受診されました。
左頬の中央に、皮膚がドーム状に盛り上がった粉瘤を認めます。
粉瘤(アテローム)は、皮膚の下に袋ができ、
その中に角質や皮脂が溜まっていく良性のできものです。
自然に消えることはなく、放置すると少しずつ大きくなったり、
細菌感染を起こして赤く腫れ、痛みを伴うことがあります。
くりぬき法で、小さな穴から摘出
当院では、この患者さんに「くりぬき法」による日帰り手術を行いました。
くりぬき法は、粉瘤の中心に数ミリの小さな穴を開け、
そこから中身(内容物)と袋(被膜)を取り出す方法です。

術中:くりぬき法で開けた小さな穴から、粉瘤の内容物が排出されています。
小さな穴から、粉瘤特有の粥状の内容物が排出されていく様子です。
従来の切開法では、しこりの大きさに合わせて
皮膚を紡錘形(細長い楕円)に切開しますが、
くりぬき法では穴が小さく済むため、傷跡も小さくなりやすいのが特徴です。
摘出した粉瘤がこちらです。

摘出した粉瘤。上が内容物(角質のかたまり)、下が袋状の被膜です。
写真上方の黄白色のかたまりが、袋の中に溜まっていた角質の内容物、
下方の白い組織が粉瘤を包んでいた袋(被膜)です。
この袋を残さず取り切ることが再発を防ぐうえで重要で、
くりぬき法でも被膜をしっかり摘出できます。
手術直後の創部がこちらです。

術直後:くりぬき法のため、創部はごく小さく済んでいます。
くりぬき法のため、創部は数ミリとごく小さく済んでいます。
この創の小ささが、後の傷跡の目立ちにくさにつながります。
なつい式湿潤療法で、傷跡が目立ちにくいように
当院では、手術後の創部を「なつい式湿潤療法」で管理します。
これは、傷を乾かさず適度な潤いを保ちながら治す方法で、
かさぶたを作らずに治癒を促すことで、
傷跡が目立ちにくくなることが期待できます。
ここからは、術後の経過を時系列でご覧いただきます。
術後1日目

術後1日目:創部はごく小さく、出血も落ち着いています。
創部は数ミリと小さく、周囲にわずかな赤みを認めますが、
出血も落ち着いており経過は良好です。
術後4日目

術後4日目:創部はさらに小さくなり、順調に治ってきています。
創部は点状にまで縮小し、周囲の赤みも引いてきました。
術後7日目

術後7日目:創部はほぼ閉じ、小さな点状になっています。
手術から1週間で、創部はほぼ閉鎖し、小さな赤い点状にまで縮小しています。
術後11日目

術後11日目:創部は小さな赤い点になり、ほぼ治癒しています。
創部は小さな赤い点になり、周囲の皮膚とほとんど段差なくなじんでいます。
日常生活で気になることもほとんどなくなる時期です。
そして、術後7年
冒頭でご覧いただいた写真を、術直後と並べて比較してみましょう。

術直後(左)と術後7年(右)。手術した部位の傷跡はほとんど分からなくなっています。
左が術直後、右が術後7年です。
術直後に見られた創部は、7年後にはほとんど分からないまでに治癒しています。
この患者さんは、今回は別の部位にできた粉瘤の手術のために再来院されました。
前回の手術跡を確認しようとしても、
ご本人もどこを手術したのか分からないほど、
傷跡はなじんでいました。
「きれいに治してもらえたから、また来ました」
という言葉は、私たちにとっても何よりの励みです。
頬の粉瘤でお悩みの方へ
顔の粉瘤は、傷跡が気になって手術をためらいがちな部位です。
しかし、くりぬき法となつい式湿潤療法を組み合わせることで、
傷跡を最小限に抑えながら、再発も防ぐ治療が可能です。
「大きくなってきた」
「気になるけれど傷跡が心配」
という方は、まずはご相談ください。
当院は大阪・新大阪エリアで、粉瘤の日帰り手術に対応しています。
よくあるご質問(頬の粉瘤・くりぬき法)
Q. 頬(顔)の粉瘤でも、傷跡はそんなに小さく済むのですか?
くりぬき法では、粉瘤の中心に数ミリの小さな穴を開けて摘出するため、
従来の切開法に比べて傷跡が小さくなりやすいのが特徴です。
今回ご紹介した症例のように、術後しばらくは小さな赤みが残りますが、
時間の経過とともに目立ちにくくなっていきます。
ただし、傷の治り方には個人差があり、
粉瘤の大きさや炎症の有無によっても変わります。
Q. 粉瘤を放っておくと、どうなりますか?
粉瘤は自然に消えることはなく、
放置すると少しずつ大きくなっていく傾向があります。
また、細菌感染を起こすと赤く腫れて痛みを伴い(炎症性粉瘤)、
膿が溜まることもあります。
炎症を起こしていも手術は可能ですが、傷跡が大きくなりやすくなるため、
気になる段階で一度ご相談されることをおすすめします。
Q. 手術は痛くないですか?日帰りでできますか?
手術は局所麻酔で行うため、手術中の痛みはほとんどありません。
麻酔の注射時にチクッとした痛みがありますが、
当院では痛みを抑える工夫をしています。
くりぬき法による粉瘤手術は日帰りで受けていただけます。
Q. 手術のあと、通院は必要ですか?
術後の経過を確認するため、数回の通院をお願いしています。
今回の症例のように、
なつい式湿潤療法で創部を管理しながら治癒を確認していきます。
通院の回数や間隔は、粉瘤の大きさや部位、治り方によって異なります。
Q. 粉瘤は再発しますか?
粉瘤は、中身だけでなく袋(被膜)が残ると再発することがあります。
くりぬき法でも被膜をしっかり摘出することで、再発を防ぎます。
ただし、炎症を繰り返した粉瘤などでは被膜が取り切りにくい場合もあり、
再発の可能性はゼロではありません。
Q. 顔に粉瘤ができました。何科を受診すればよいですか?
粉瘤は、皮膚科・形成外科で診療しています。
特に顔など目立つ部位の場合は、
傷跡に配慮した手術を行う形成外科での相談がおすすめです。
当院は大阪・新大阪エリアで、粉瘤の日帰り手術に対応しています。
当院の治療方針
当院では、夏井睦医師が確立されたなつい式湿潤療法による創傷治療を行っています。
消毒やガーゼに頼らず、痛みを抑えながら治癒を促す方法です。
注意事項
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としています。
実際の治療方針は診察のうえ個別に判断されます。
手術に伴うリスク・副作用について
粉瘤手術には、出血、感染、創部の赤みや硬さ、再発などの可能性があります。
傷の治り方や傷跡の残り方には個人差があり、
本記事の写真と同じ経過をすべての方に保証するものではありません。
費用について
粉瘤手術は健康保険が適用されます。
費用は粉瘤の大きさや部位により異なります
(3割負担の場合、おおよそ10,000円〜16,000円程度)。
詳しくは診察時にご説明します。
執筆者情報
執筆者:郡田 大宇 医師(こおりたひろ整形形成外科クリニック 院長)
整形外科・形成外科・傷・熱傷・粉瘤手術を専門とし、
粉瘤手術を中心に累計6,000件以上の手術実績があります。
くりぬき法およびなつい式湿潤療法による症例を、
これまでに1,000例以上ブログで公開しています。
すべての症例は院長自身が診察・手術・経過観察を行っています。












