大阪市淀川区・新大阪にある【こおりたひろ整形形成外科クリニック】院長の郡田です。
今回は、背部にできた粉瘤(アテローム)に対し、「くりぬき法」で摘出し、なつい式湿潤療法で術後管理を行ったことで、痛みや感染を最小限に抑え、綺麗に治癒した50代女性の症例をご紹介します。
◆ 患者さんについて
患者さんは50代の女性です。
数年前より背中にしこり(粉瘤)があることに気づいていたそうですが、特に痛みなどもなく経過していました。
ある日、他の疾患で通院中の主治医から「手術で取った方が良い」とアドバイスを受けたことをきっかけに、
インターネットで情報収集され、当院の粉瘤手術の実績をご覧になり、遠方より手術目的でご来院くださいました。
◆ 手術内容と術後処置
手術は、5mmのパンチを使用して「くりぬき法」で行いました。
内容物だけでなく、粉瘤の袋(被膜)までしっかりと摘出できたため、再発の可能性は極めて低いと考えられます。
◆ なつい式湿潤療法で術後を管理
術後は、なつい式湿潤療法により創部を乾かさずに保護しました。
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消毒は一切行っておりません。
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ガーゼ交換の必要もありません。
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抗生物質も感染兆候がない限り、処方しておりません。
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手術当日からシャワーOKです。
そのため、処置時の痛みは非常に少なく、傷跡も最小限に抑えることができました。
🔚 まとめ
粉瘤は放置すると炎症や感染を起こすリスクがあり、根本的な治療には袋ごとの摘出が必要です。
当院では、くりぬき法となつい式湿潤療法を組み合わせることで、傷跡が目立ちにくく、患者さんの負担も最小限に抑えた治療を行っております。
🔵 粉瘤(アテローム)に関するよくあるご質問(FAQ)
Q1. 粉瘤とは何ですか?
A.
粉瘤(ふんりゅう、アテローム)とは、皮膚の下にできる袋状の良性腫瘍です。
中には皮脂や角質が溜まっており、自然に消えることはほとんどありません。
放置すると炎症を起こし、腫れ・痛み・膿が出ることがあります。
Q2. 粉瘤は自然に治りますか?
A.
自然に治ることは基本的にありません。
小さくなることがあっても、内部の袋(被膜)が残るため、再発することが多いです。
再発予防には手術による摘出が必要です。
Q3. 炎症があるときは手術できないのですか?
A.
他院で「炎症があると手術できない」と言われることがありますが、
当院では炎症があっても「くりぬき法」による手術が可能です。
むしろ早期の手術により、痛みや腫れが早く改善します。
Q4. 抗生物質では治らないのですか?
A.
炎症が強い粉瘤には抗生物質は無効です。
なぜなら、炎症は袋の内部で起きており、その袋には血流がないため、薬が届かないからです。
よって、袋ごと手術で取り除くことが根本的な治療になります。
Q5. 手術はどんな方法ですか?
A.
当院では「くりぬき法」という方法を用いて、できるだけ小さい傷で袋(被膜)まで完全に取り除きます。
傷跡も非常に小さく、術後の痛みも最小限です。
Q6. 術後の処置はどのように行いますか?
A.
なつい式湿潤療法という方法で、傷を乾かさずに治す処置を行っています。
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消毒しません
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ガーゼ交換不要
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シャワー・入浴も翌日からOK
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抗生物質も基本的に処方しません
Q7. 術後に再発することはありますか?
A.
袋を完全に摘出できれば再発はほとんど御座いません。
当院では術中に被膜をしっかり取り除くことを重視しています。
Q8. 手術後の痛みや腫れはどの程度ありますか?
A.
炎症が強かった症例でも、術後の痛みは少ないケースがほとんどです。
多くの患者様が「想像していたより痛くない」と話されます。
Q9. 粉瘤が小さいうちに手術した方が良いですか?
A.
はい、小さいうちに手術することで、傷跡も小さく、手術時間や回復も短く済みます。
炎症が起きてからでは、痛みも強く治療が複雑になります。
Q10. 粉瘤の手術は健康保険が使えますか?
A.
はい、粉瘤の手術は保険診療の対象です。
手術の規模や部位により、負担額が異なる場合があります。

術前

術中(粉瘤内容物を排出)

術直後