首(後頚部)にできた粉瘤(アテローム)の症例です。
患者様は20代男性。
数年前からしこりを自覚されていましたが、
徐々に臭いが強くなってきたため受診されました。
粉瘤は、内部に垢や皮脂が溜まるため、
放置すると悪臭や感染の原因となります。
「できるだけ傷をきれいに治したい」と考え、
インターネットで医療機関を検索され、
当院を受診されました。
ご本人のご希望もあり、
受診当日に手術(当日手術)を行いました。
■ 術前の状態

首(後頚部)にできた粉瘤(アテローム)の術前写真。皮膚の下にしこりを認め、長期間の経過で内容物が蓄積している状態です。
内容物の貯留による腫大と臭いがみられました。
■ 手術方法(くりぬき法)
局所麻酔下にて、
くりぬき法(パンチ切除)で手術を行いました。
粉瘤は内容物だけでなく、
袋(被膜)を完全に摘出しなければ再発します。
■ 術中所見

首(後頚部)の粉瘤をくりぬき法で処置中の写真。内部に溜まっていた角質様の内容物が排出されている様子です。

首(後頚部)の粉瘤をくりぬき法で手術中の写真。嚢胞の被膜(袋)を丁寧に摘出している様子です。
被膜を丁寧に剥離し、完全に摘出します。
本症例でも被膜ごときれいに摘出できており、
再発リスクは極めて低い状態です。
■ 摘出標本

首(後頚部)の粉瘤から摘出された被膜(嚢胞壁)と内容物。被膜ごと摘出することで再発を防ぎます。

粉瘤(アテローム)の被膜(嚢胞壁)の拡大像。袋状の構造が確認でき、完全摘出が再発防止に重要です。
摘出された粉瘤の被膜および内容物です。
■ 術直後

首(後頚部)の粉瘤をくりぬき法で摘出した直後の状態。最小限の創で手術が完了しています。
くりぬき法により、最小限の創で手術が完了しています。
■ 術後治療(なつい式湿潤療法)
術後はなつい式湿潤療法で治療を行いました。
- 消毒は一切行いません
- 抗生物質は処方していません
- 当日からシャワー・入浴が可能です
創部を乾燥させず、適切に保護することで、
痛みを抑えながら自然で美しい治癒を促します。
■ 術後経過

術後4日目の状態。良好な肉芽形成がみられ、創部は浅くなっています。感染所見は認められません。

術後15日目の状態。創部は縮小し、炎症所見は軽微で、患者さんは自覚症状が全くありません。

術後22日目の状態。創部はきれいに治癒しており、患者さんの自覚症状はほぼありません。
術後22日目。
創部はほぼ治癒し、目立たない状態となりました。
■ まとめ
- 粉瘤は被膜ごと摘出することが最も重要
- くりぬき法により小さな傷で治療が可能
- なつい式湿潤療法により消毒なしでもきれいに治癒
粉瘤は自然に治ることはありません。
首のしこりや臭いが気になる場合は、
悪化する前に早めの受診をおすすめします。
特に首は目立つ部位のため、
早期に適切な治療を行うことが重要です。
▶ 粉瘤(アテローム)の詳しい解説はこちら
■ 粉瘤(アテローム)に関するよくある質問
Q1. 粉瘤(アテローム)とは何ですか?
粉瘤は、皮膚の下に袋(被膜)ができ、
その中に角質や皮脂がたまる良性腫瘍です。
自然に治ることはなく、被膜が残ると再発します。
Q2. 炎症があっても手術できますか?
状態によっては可能です。
適切に被膜を摘出できれば再発を防ぐことができます。
Q3. 抗生物質で治りますか?
治りません。
抗生物質は感染に対する治療であり、被膜は消えません。
Q4. くりぬき法とは?
最小限の切開で被膜を摘出する手術方法です。
傷が小さく、負担が少ないのが特徴です。
Q5. 傷跡は残りますか?
部位によりますが、適切な手術と術後管理により、
長期的には目立たなくなることが多いです。
(※必要に応じてQ6以降追加)
■ 当院の治療方針
当院では、夏井睦医師が確立された
なつい式湿潤療法による創傷治療を行っています。
消毒やガーゼに頼らず、痛みを抑えながら治癒を促す方法です。
■ 注意事項
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としています。
実際の治療方針は診察のうえ個別に判断されます。
■ 執筆者情報
執筆者:郡田 大宇 医師
(こおりたひろ整形形成外科クリニック 院長)
整形外科・形成外科・傷・熱傷・粉瘤手術を専門とし、
粉瘤手術を中心に累計6,000件以上の手術実績があります。
くりぬき法およびなつい式湿潤療法による症例を、
これまでに1,000例以上ブログで公開しています。
すべての症例は院長自身が診察・手術・経過観察を行っています。













