頭部の大きな粉瘤を「くりぬき法」で安全に摘出した一例
〜 剃毛最小・感染なし・遠方から来院 〜
大阪市淀川区・新大阪にある【こおりたひろ整形形成外科クリニック】院長の郡田です。
今回は、頭に長年あった大きな粉瘤(アテローム)に対し、「くりぬき法」で安全に摘出した症例をご紹介いたします。
🩺 初診までの経緯
患者さんは40代の男性。
約10年前から頭部に粉瘤があり、最近になって大きくなってきたため、近隣の皮膚科を受診されました。
そこで医師からは、
「粉瘤が大きすぎて、うちでは手術できないため、○○大学医学部付属病院の形成外科を紹介します。」
と案内されたそうです。
紹介先の形成外科では、以下のような説明を受けられました。
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「かなり大きな手術になります」
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「頭の髪を半分くらい剃毛しないといけません」
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「くりぬき法なんて危険。そんなのじゃ、化膿して大変なことになりますよ」と、半ば笑いながら否定される
🔍 患者さんの希望と当院への来院理由
患者さんは、以下の希望をお持ちでした。
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なるべく髪を剃りたくない
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なるべく傷を小さく済ませたい
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くりぬき法で治療したい
そこで色々と調べられた結果、他県から当院を受診してくださったのです。
🏥 当院での説明と方針
私からは、以下のように説明させていただきました。
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くりぬき法で十分に手術可能です。
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感染の心配もまずありません。
→ 直近5年間、年間約700件の粉瘤手術を行っておりますが、1例も感染例はありません。(ただし、絶対に感染しないとは言い切れません。) -
剃毛は粉瘤の周囲のみで対応できます。
→ 頭全体や半分も剃る必要は全くありません。 -
術後はなつい式湿潤療法で管理します。
→ 痛みがほとんどなく、治りもきれいです。
(全国でなつい式湿潤療法をしている医師のリストです。)
この説明に、患者さんは非常に安心されたご様子でした。
📝 まとめ:頭の粉瘤も「くりぬき法」で低侵襲に摘出できます
頭部にできた大きな粉瘤でも、正確な知識と経験があれば、くりぬき法で安全に対応が可能です。
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剃毛は最小限
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傷は小さく
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感染リスクは低く
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術後の痛みも少ない
「くりぬき法はダメ」と一括りにされてしまうことがありますが、正しい技術で行えば再発も少なく、患者さんの満足度も高い手術法です。