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炎症性粉瘤を手術で治療|抗生物質は効かないって本当?

粉瘤(アテローム)摘出 術中

大阪市淀川区・新大阪駅近くにある【こおりたひろ整形形成外科クリニック】院長の郡田です。
今回は、後頚部に炎症を伴う粉瘤(アテローム)を「くりぬき法」で摘出した60代患者さんの症例をご紹介いたします。


◆ 患者さんについて

患者さんは60代。数年前から後頚部にしこり(粉瘤)があることには気づいていたそうですが、
数日前から赤く腫れて痛みが強くなってきたため、地元の〇〇皮膚科クリニックを受診されました。

そこで医師からは、

「今は炎症が強いので何もできません。とりあえず抗生物質を飲んで様子を見てください。手術を希望されるなら、自分で手術してくれるところを探してください。」

と言われたそうです。


◆ 抗生物質では治りません

処方された抗生物質を服用しても、痛みは悪化し、腫れも引かず、夜も眠れない状態に
そこで患者さんは「炎症が強くても粉瘤の手術をしてくれる医療機関」をインターネットで検索し、当院のホームページにたどり着き、他県から来院されました。


◆ 粉瘤に抗生物質はなぜ効かないのか?

当院では、初診時に以下のことを明確に説明しています。

✅ 1. 抗生物質は効きません

粉瘤の炎症は袋(被膜)の内部で起きており、血流がないため、抗生物質が届きません。
したがって、どんなに強い抗生剤を使っても効果はほとんど期待できません。

✅ 2. 粉瘤は、手術でしか治りません

炎症の有無に関係なく、根本的な治療法は手術のみです。
「抗生物質で腫れが引いた」という例が稀にありますが、それは粉瘤が自然に破裂し、膿が出たことによる一時的な改善にすぎません。


◆ 手術するか、しないかは患者さん次第

粉瘤は命に関わる病気ではありません(※稀に悪性化する例もありますが、ごく例外的です)。
ですから、私たちはいつもこうお伝えしています。

「手術をするかどうかは、ご自身が“このまま放置していいかどうか”を判断されるべきです。
メリットとデメリットを丁寧にご説明し、ご本人に選んでいただきます。」


◆ 放置するとどうなるか?

手術をせず様子を見ると、

  • 腫れる → 自然に破裂 → 一時的に炎症が治まる → また腫れる
    ということを繰り返しながら、徐々に大きくなっていくケースが非常に多いです。
    このサイクルが嫌な方は、やはり早めの手術が望ましいと考えています。


◆ 手術内容と術後経過

今回も、炎症がある状態でしたが、くりぬき法にて安全に摘出いたしました。

  • 被膜(袋)も含めて取り除きました

  • 術後の創部はなつい式湿潤療法で管理

  • 消毒やガーゼ交換は不要

  • 抗生物質は一切使用していません

  • 術後は毎日のシャワー・入浴もOK

  • 感染や再発も認められず、順調に治癒しました


◆ まとめ

  • 🔹 粉瘤に抗生物質は効きません

  • 🔹 治療法は手術のみです

  • 🔹 炎症があっても手術は可能です

  • 🔹 術後もなつい式湿潤療法で痛みや感染リスクを抑えて治療ができます


「炎症があるから手術できない」「抗生物質で治るかもしれない」と言われてお困りの方へ。
当院では、炎症を伴う粉瘤でも安全に摘出できる体制を整えております。
ぜひ一度ご相談ください。

 

粉瘤(アテローム)摘出 術前

術前

粉瘤(アテローム)摘出 術中

術中

粉瘤(アテローム)摘出 術直後

術直後

粉瘤(アテローム)摘出 術後1日

術後1日

粉瘤(アテローム)摘出 術後3日

術後3日

粉瘤(アテローム)摘出 術後10日

術後10日

粉瘤(アテローム)摘出 術後17日

術後17日

粉瘤(アテローム)摘出 術後24日

術後24日

粉瘤(アテローム)摘出 術後31日

術後31日

🔵 粉瘤(アテローム)に関するよくあるご質問(FAQ)


Q1. 粉瘤とは何ですか?

A.
粉瘤(ふんりゅう、アテローム)とは、皮膚の下にできる袋状の良性腫瘍です。
中には皮脂や角質が溜まっており、自然に消えることはほとんどありません。
放置すると炎症を起こし、腫れ・痛み・膿が出ることがあります。


Q2. 粉瘤は自然に治りますか?

A.
自然に治ることは基本的にありません。
小さくなることがあっても、内部の袋(被膜)が残るため、再発することが多いです。
再発予防には手術による摘出が必要です。


Q3. 炎症があるときは手術できないのですか?

A.
他院で「炎症があると手術できない」と言われることがありますが、
当院では炎症があっても「くりぬき法」による手術が可能です。
むしろ早期の手術により、痛みや腫れが早く改善します。


Q4. 抗生物質では治らないのですか?

A.
炎症が強い粉瘤には抗生物質は無効です
なぜなら、炎症は袋の内部で起きており、その袋には血流がないため、薬が届かないからです。
よって、袋ごと手術で取り除くことが根本的な治療になります。


Q5. 手術はどんな方法ですか?

A.
当院では「くりぬき法」という方法を用いて、できるだけ小さい傷で袋(被膜)まで完全に取り除きます。
傷跡も非常に小さく、術後の痛みも最小限です。


Q6. 術後の処置はどのように行いますか?

A.
なつい式湿潤療法という方法で、傷を乾かさずに治す処置を行っています。

  • 消毒しません

  • ガーゼ交換不要

  • シャワー・入浴も翌日からOK

  • 抗生物質も基本的に処方しません


Q7. 術後に再発することはありますか?

A.
袋を完全に摘出できれば再発はほとんど御座いません。
当院では術中に被膜をしっかり取り除くことを重視しています。


Q8. 手術後の痛みや腫れはどの程度ありますか?

A.
炎症が強かった症例でも、術後の痛みは少ないケースがほとんどです。
多くの患者様が「想像していたより痛くない」と話されます。


Q9. 粉瘤が小さいうちに手術した方が良いですか?

A.
はい、小さいうちに手術することで、傷跡も小さく、手術時間や回復も短く済みます。
炎症が起きてからでは、痛みも強く治療が複雑になります。


Q10. 粉瘤の手術は健康保険が使えますか?

A.
はい、粉瘤の手術は保険診療の対象です。
手術の規模や部位により、負担額が異なる場合があります。

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