「『抗生物質を飲んでいれば、そのうち粉瘤の炎症も治まりますよ』
そう言われて薬を飲み続けたのに、痛みは強くなる一方。
実はこのような経験をされる患者さんは少なくありません。
今回ご紹介するのは、同じように抗生物質を処方されたものの改善せず、
不安を抱えて遠方から当院を受診された50代女性の症例です。」
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炎症性粉瘤に抗生物質は効かない
患者さんは50代女性。
数年前から背中に粉瘤(アテローム)を自覚されていましたが、
2週間前から急に痛みが強くなり、近医の皮膚科を受診されました。
医師からは
「炎症が強いので手術はできない。抗生物質で炎症が落ち着いてから考えましょう」
と説明され、1週間分の抗生物質を処方されたそうです。
しかし、5日間内服しても炎症は悪化する一方で、痛みが強くなるばかり。
そこで「炎症があっても手術できる医療機関」を探し、
遠方より当院を受診されました。
なぜ抗生物質は効かないのか
炎症性粉瘤に対して抗生物質を処方する医師は非常に多いのが現状です。
しかし、粉瘤の炎症は袋(被膜)の中で起こっており、
その内部には血管がありません。
つまり、抗生物質を飲んでも薬は患部に届かず、効果はありません。
さらに、抗生物質を無駄に服用することで、
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腸内細菌が死んで下痢になる
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女性では膣常在菌が死んでカンジダになる
といった副作用だけが残ります。
まさに「百害あって一利なし」です。
抗生物質を使ってはいけないケース
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風邪(ウイルス性疾患)
抗生物質は細菌には効きますが、ウイルスには無効です。 -
炎症性粉瘤
上記の通り、効果はなく、むしろ副作用リスクが高まります。 -
手術後の感染予防目的
感染していないのに予防のために服用するのは誤りです。
薬は「病気にかかってから使うもの」であり、予防目的で飲むべきではありません。
当院の手術と経過
当院では年間約1,000件の手術を行っていますが、
術後に抗生物質を処方することは一切ありません。
なつい式湿潤療法により、これまで一例の術後感染もありません。
今回も炎症が強い背部粉瘤をくりぬき法で手術し、
袋と内容物を完全に摘出しました。
術後も消毒や抗生物質は使用せず、湿潤療法のみで経過良好。
感染はなく、痛みも急速に改善しました。
👉 まとめ
炎症性粉瘤に抗生物質は効きません。
大切なのは「袋ごと手術で取り除くこと」です。
当院では炎症中でも手術可能であり、術後も痛み少なく、傷跡も最小限に治癒します。
【こおりたひろ整形形成外科クリニックについて】
当院(大阪市淀川区・新大阪駅すぐ)では、
粉瘤(アテローム)のくりぬき法による日帰り手術をはじめ、
なつい式湿潤療法による傷跡を最小限に抑える治療を行っております。
痛みや腫れが強い炎症性粉瘤、
他院で手術を断られた症例にも対応可能です。
術後は消毒不要・ガーゼ不要・シャワーOKで、
日常生活への影響を最小限に抑えられます。
粉瘤の治療をご検討中の方は、ぜひ一度ご相談ください。
粉瘤(アテローム)に関するよくあるご質問(FAQ)
Q1. 粉瘤とは何ですか?
A.
粉瘤(ふんりゅう、アテローム)とは、皮膚の下にできる袋状の良性腫瘍です。
中には皮脂や角質が溜まっており、自然に消えることはほとんどありません。
放置すると炎症を起こし、腫れ・痛み・膿が出ることがあります。
Q2. 粉瘤は自然に治りますか?
A.
自然に治ることは基本的にありません。
小さくなることがあっても、内部の袋(被膜)が残るため、
再発することが多いです。
再発予防には手術による摘出が必要です。
Q3. 炎症があるときは手術できないのですか?
A.
他院で「炎症があると手術できない」と言われることがありますが、
当院では炎症があっても「くりぬき法」による手術が可能です。
むしろ早期の手術により、痛みや腫れが早く改善します。
Q4. 抗生物質では治らないのですか?
A.
炎症が強い粉瘤には抗生物質は無効です。
なぜなら、炎症は袋の内部で起きており、その袋には血流がないため、
薬の効果が届かないからです。
よって、袋ごと手術で取り除くことが根本的な治療になります。
Q5. 手術はどんな方法ですか?
A.
当院では「くりぬき法」という方法を用いて、できるだけ小さい傷で
袋(被膜)まで完全に取り除きます。
傷跡も非常に小さく、術後の痛みも最小限です。
Q6. 術後の処置はどのように行いますか?
A.
なつい式湿潤療法という方法で、傷を乾かさずに治す処置を行っています。
・消毒しません
・ガーゼ交換不要
・シャワー・入浴も翌日からOK
・抗生物質も基本的に処方しません
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Q7. 術後に再発することはありますか?
A.
袋を完全に摘出できれば再発はほとんど御座いません。
当院では術中に被膜をしっかり取り除くことを重視しています。
Q8. 手術後の痛みや腫れはどの程度ありますか?
A.
炎症が強かった症例でも、術後の痛みは少ないケースがほとんどです。
多くの患者様が「想像していたより痛くない」と話されます。
Q9. 粉瘤が小さいうちに手術した方が良いですか?
A.
はい、小さいうちに手術することで、傷跡も小さく、
手術時間や回復も短く済みます。
炎症が起きてからでは、痛みも強く治療が複雑になります。
Q10. 粉瘤の手術は健康保険が使えますか?
A.
はい、粉瘤の手術は保険診療の対象です。
手術の規模や部位により、負担額が異なる場合があります。
長年「なかなか治らないしこり」にお悩みの方は、
それが実は粉瘤かもしれません。
痛みや腫れが無くても、正確な診断と早めの手術をおすすめします。
当院のブログは、すべて院長である私自身が診療の経験をもとに執筆しております。
SEO業者や口コミ依頼などの外部サービスには一切頼らず、実際の症例に基づき、
患者さんに安心していただける正しい情報をお届けすることを大切にしています。
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これからも誠実な情報発信を続けてまいりますので、
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