大阪市淀川区・新大阪にある【こおりたひろ整形形成外科クリニック】院長の郡田です。
今回ご紹介するのは、頬にできた炎症性粉瘤(アテローム)を、くりぬき法で摘出し、術後はなつい式湿潤療法で治療した患者さんの症例です。
🔸 手術前の経緯
患者さんは50代の方で、頬にできた粉瘤が急に腫れてきたため、
「炎症があっても手術してもらえる医療機関」を探し、当院を受診されました。
実は、粉瘤が赤く腫れて炎症を起こしている状態でも、手術は全く問題なく可能です。
むしろ、抗生物質だけでは改善しないことがほとんどで、根本治療には手術が必要です。
🔸 手術内容と術後の経過
今回は「くりぬき法」にて、粉瘤を丁寧に摘出いたしました。
術後の創部は、なつい式湿潤療法で処置しておりますので、
✅ 一度も消毒はしておりません
✅ 毎日、シャワー・入浴もOK
✅ 抗生物質も処方しておりません(感染の兆候なし)
🔸 術後8年、別部位の手術で再診
手術から8年後、他の部位の粉瘤治療のため再度ご来院された際、
当時の頬の傷を確認させていただきました。
写真撮影にも快く応じてくださり、
その際にこんな嬉しいお言葉をいただきました:
「先生、どこ手術したかわからへん!凄い!」
実際、術後の傷跡はどこを手術したか分からないほど自然に治癒しており、
私自身もあらためてなつい式湿潤療法の力に感動いたしました。
ご協力、誠にありがとうございました。

術前

術中(粉瘤内容物を排出)

術中(粉瘤被膜を摘出)

術直後

術後2日

術後7日

術後14日

術後8年
🔵 粉瘤(アテローム)に関するよくあるご質問(FAQ)
Q1. 粉瘤とは何ですか?
A.
粉瘤(ふんりゅう、アテローム)とは、皮膚の下にできる袋状の良性腫瘍です。
中には皮脂や角質が溜まっており、自然に消えることはほとんどありません。
放置すると炎症を起こし、腫れ・痛み・膿が出ることがあります。
Q2. 粉瘤は自然に治りますか?
A.
自然に治ることは基本的にありません。
小さくなることがあっても、内部の袋(被膜)が残るため、再発することが多いです。
再発予防には手術による摘出が必要です。
Q3. 炎症があるときは手術できないのですか?
A.
他院で「炎症があると手術できない」と言われることがありますが、
当院では炎症があっても「くりぬき法」による手術が可能です。
むしろ早期の手術により、痛みや腫れが早く改善します。
Q4. 抗生物質では治らないのですか?
A.
炎症が強い粉瘤には抗生物質は無効です。
なぜなら、炎症は袋の内部で起きており、その袋には血流がないため、薬が届かないからです。
よって、袋ごと手術で取り除くことが根本的な治療になります。
Q5. 手術はどんな方法ですか?
A.
当院では「くりぬき法」という方法を用いて、できるだけ小さい傷で袋(被膜)まで完全に取り除きます。
傷跡も非常に小さく、術後の痛みも最小限です。
Q6. 術後の処置はどのように行いますか?
A.
なつい式湿潤療法という方法で、傷を乾かさずに治す処置を行っています。
・消毒しません
・ガーゼ交換不要
・シャワー・入浴も翌日からOK
・抗生物質も基本的に処方しません
Q7. 術後に再発することはありますか?
A.
袋を完全に摘出できれば再発はほとんど御座いません。
当院では術中に被膜をしっかり取り除くことを重視しています。
Q8. 手術後の痛みや腫れはどの程度ありますか?
A.
炎症が強かった症例でも、術後の痛みは少ないケースがほとんどです。
多くの患者様が「想像していたより痛くない」と話されます。
Q9. 粉瘤が小さいうちに手術した方が良いですか?
A.
はい、小さいうちに手術することで、傷跡も小さく、手術時間や回復も短く済みます。
炎症が起きてからでは、痛みも強く治療が複雑になります。
Q10. 粉瘤の手術は健康保険が使えますか?
A.
はい、粉瘤の手術は保険診療の対象です。
手術の規模や部位により、負担額が異なる場合があります。