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粉瘤(頚部・炎症性)|くりぬき法で手術、術後8年で傷跡が分からなくなった症例

炎症により赤く腫れ、痛みを伴っていた頚部粉瘤の術前写真(40代女性)

🎥 実際の経過を動画でご覧いただけます

炎症を起こした頚部の粉瘤を「くりぬき法」で手術し、
術後は「なつい式湿潤療法」で管理した症例の、
術前から術後8年までの創部経過をスライド動画にまとめました。

頚部粉瘤の手術創がどのように治癒し、
長期的に傷跡が目立たなくなっていくのかを、
時系列で分かりやすくご覧いただけます。

粉瘤治療で本当に大切なのは、手術直後ではなく、数年後にどうなっているかです。

ぜひ動画でもご確認ください。

はじめに
頚部の粉瘤は、
・炎症を起こしやすい
・目立つ部位である
・術後に傷跡が残りやすい

といった理由から、治療に不安を感じる患者さんが多い疾患です。


今回ご紹介するのは、
2016年に炎症が強い状態で手術を行った頚部粉瘤の症例です。

その後、術後8年が経過し、別の部位の粉瘤治療を目的に再受診された際、
前回手術部位の写真を撮影させていただきました。
主治医の私ですら、どこを切ったのか見つけるのが困難なほど
綺麗に治っていました。


症例

患者さんは40代の女性です。
頚部の粉瘤が腫れてきたため、
炎症が強い状態でも手術を行ってもらえる医療機関をインターネットで探され、
当院を受診されました。

当日は幸い(?)外来に余裕があり、診察のうえ当日手術が可能と判断し、
手術を行いました。

手術はくりぬき法で行っています。


手術方法と術後管理

くりぬき法により、粉瘤を被膜ごと摘出しました。

術後はなつい式湿潤療法で創部を管理するため、一度も消毒は行っていません
手術当日から、シャワー・入浴ともに可能としています。

術後経過は良好で、感染兆候を認めなかったため、抗生物質は処方していません


術前・術後経過(2016年)

※本症例の手術当時(2016年)の詳細な経過については、
👉 炎症が強い頚部の粉瘤(アテローム)です。(くりぬき法)
(2016年6月13日公開)
をご参照ください。

炎症により赤く腫れ、痛みを伴っていた頚部粉瘤の術前写真(40代女性)

炎症が強く、発赤と腫脹を伴った頚部の粉瘤(術前)

炎症性の頚部粉瘤に対し、くりぬき法で被膜を剥離・摘出している術中写真(40代女性)

くりぬき法により、頚部粉瘤の被膜を摘出している術中の様子

くりぬき法で頚部粉瘤を摘出した直後の写真。出血はほぼ認められない(40代女性)

くりぬき法による頚部粉瘤摘出後の術直後所見。出血はほとんど認められません

くりぬき法により被膜ごと摘出された頚部粉瘤の標本写真(40代女性)

くりぬき法で被膜ごと摘出された頚部粉瘤の標本

くりぬき法で頚部粉瘤を摘出後2日目の写真。出血・腫れ・痛みはほとんど認められない(40代女性)

頚部粉瘤摘出後2日目。出血や腫れ、痛みはほとんど認められません

くりぬき法で頚部粉瘤を摘出後5日目の写真。腫れ・出血・痛みは認められず、創の深さも浅くなっている(40代女性)

頚部粉瘤摘出後5日目。腫れや出血、痛みはなく、創の深さも浅くなっています

くりぬき法で頚部粉瘤を摘出後13日目の写真。創部はほぼ治癒し、腫れ・出血・痛みなどの症状は認められない(40代女性)

頚部粉瘤摘出後13日目。創部はほぼ治癒し、特に症状は認められません

くりぬき法で頚部粉瘤を摘出後79日目の写真。傷跡はほぼ分からない状態(40代女性)

頚部粉瘤摘出後79日。傷跡はほぼ分からない状態です

炎症が強い状態での手術でしたが、術後に感染を起こすことなく、
特にトラブルを生じることなく、順調に治癒しました。


術後8年の状態

手術から8年が経過し、別の部位に粉瘤ができたため、
手術目的で再度当院を受診されました。

その際に、前回手術を行った頚部の写真を撮影させていただきました。
以下は、術後8年が経過した時点での状態です。

くりぬき法で頚部粉瘤を摘出後8年の写真。傷跡は全く分からず、手術部位も判別できない状態(40代女性)

頚部粉瘤摘出後8年。傷跡は全く分からず、ご本人も手術部位が分からない状態です

ご覧のとおり、どこを手術したのか全く分からない状態となっています。

頚部は皮膚の動きが大きく、瘢痕が残りやすい部位ですが、
適切な手術方法と術後管理を行うことで、

長期的にも良好な結果が得られることが分かります。


患者さんの言葉

再診時、患者さんから次のようなお言葉をいただきました。

「すごく綺麗にしていただき、本当にありがとうございました。
先生は私にとっての恩人です。
だから、また粉瘤ができたときも、すぐに来ました。」

医師として、このようなお言葉をいただけたことは、
大変うれしく、励みになりました。


まとめ

粉瘤の治療は、
「その場で取れたかどうか」ではなく、
数年後にどのような状態になっているかが重要です。

特に頚部の粉瘤でお悩みの方は、
手術方法だけでなく、術後管理も含めて、慎重に治療を選択することが大切です。


粉瘤(アテローム)に関するよくある質問


Q1. 粉瘤(アテローム)とは何ですか?

A.
粉瘤(アテローム)は、皮膚の下に袋状の構造(被膜)ができ、
その中に角質や皮脂がたまる良性の腫瘍です。

自然に治ることはなく、内容物だけを出しても被膜が残っていると再発します。


Q2. 炎症を起こして赤く腫れていても手術はできますか?

A.
はい、炎症が強い状態でも手術が可能な場合があります
炎症があるからといって、必ずしも抗生物質だけで様子を見る必要はありません。
状態を見極めたうえで、適切に被膜を摘出できれば、再発を防ぐことができます。


Q3. 粉瘤は抗生物質で治りますか?

A.
抗生物質で粉瘤そのものが治ることはありません
抗生物質は感染が成立した場合に使用する薬であり、被膜を消すことはできません。
根本的な治療には、被膜ごと摘出する手術が必要です。


Q4. くりぬき法とはどのような手術ですか?

A.
くりぬき法は、最小限の皮膚切開で粉瘤の被膜を摘出する手術方法です。
必要以上に皮膚を切らないため、体への負担や傷跡を抑えやすいのが特徴です。


Q5. 首(頚部)の粉瘤は傷跡が残りやすいですか?

A.
頚部は皮膚の動きが大きく、一般的には傷跡が目立ちやすい部位です。
しかし、手術方法と術後管理を適切に行うことで、
長期的には傷跡がほとんど分からなくなることもあります


Q6. 粉瘤手術後は消毒が必要ですか?

A.
当院では、術後の創部管理としてなつい式湿潤療法を行っています。
この方法では、消毒は行いません。
(創部に消毒を行うと、激痛です。)

創部を乾燥させず、湿潤な環境を保つことを重視しています。


Q7. 手術当日からシャワーや入浴はできますか?

A.
はい、手術当日からシャワー・入浴が可能な場合が多いです。
創部の状態や部位によって指示が異なることがありますので、
必ず医師の説明に従ってください。


Q8. 粉瘤は再発しますか?

A.
被膜が残っている場合は再発します。
一方で、被膜ごと完全に摘出できていれば、再発の可能性は非常に低くなります
そのため、手術方法と確実な被膜摘出が重要です。


Q9. 粉瘤の手術はどのくらいで治りますか?

A.
術後の経過には個人差がありますが、
多くの場合、数週間で創部は落ち着き、数か月かけて傷跡が目立たなくなります
さらに年単位で経過を見ると、傷跡が分からなくなることもあります


Q10. 粉瘤は放置しても大丈夫ですか?

A.
放置すると、突然炎症を起こして腫れや痛みが出ることがあります。
炎症を繰り返すと、手術が難しくなったり、傷跡が残りやすくなることもあります。
気づいた時点での早めの相談をおすすめします。


Q11. 他院で「様子を見る」と言われましたが、相談できますか?

A.
はい、可能です。
治療方針は医療機関によって異なります。
「本当に手術はできないのか」「他の選択肢はないのか」
といった疑問がある場合、別の視点での診察を受けることも一つの選択です。


Q12. どの医療機関で粉瘤手術を受ければよいですか?

A.
粉瘤は一見簡単に見える疾患ですが、
再発・傷跡・長期経過まで考えると、
経験と考え方が結果に大きく影響します。
手術方法や術後管理について、
きちんと説明してくれる医療機関を選ぶことが大切です。

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当院の治療理念:なつい式湿潤療法

なつい式湿潤療法」は、日本の形成外科医であり、
湿潤療法の第一人者として高く評価されている
夏井睦先生 によって確立された治療法です。
この治療法は、消毒やガーゼを使用せず、創部を湿潤環境に保つことで、
痛みを最小限に抑え、治癒を促進します。
当院では、夏井先生の効果的な治療理念に基づいた創傷管理を実践しています。
夏井睦先生公式サイト「新しい創傷治療」


※当院のブログは、すべて院長が自ら執筆しております。
SEO対策業者の皆様から数多くご連絡を頂きますが、
今後も自院の実際の症例に基づき、

院長が責任をもって情報発信を続けてまいります。
どうぞご理解いただきますようお願い申し上げます。


本記事は、粉瘤および創傷治療に関する医学的知見を、
一般の方にも理解できるよう整理し、共有することを目的として作成しています。

実際の治療方針は、病変の状態、患者さんの背景、
ならびに診察所見を踏まえ、個別に判断されるべきものです。

当院では、本文中で述べた治療法を含め、
診察のうえで適応の有無を判断しています。

本記事の内容について、診察を通じて医学的判断が必要な場合には、
診療時間内に受診していただくことで対応可能です。


🖊️ 執筆者情報

執筆者:郡田 大宇 医師
こおりたひろ整形形成外科クリニック 院長)
専門分野:整形外科・形成外科・熱傷・粉瘤手術
経験・実績:粉瘤手術を中心に累計6,000件(年間約500件)以上の手術実績。
粉瘤、ケガ、やけどなど、くりぬき法なつい式湿潤療法による症例を
ブログに1,000例以上掲載しています。

すべての症例は院長自身が診察・手術・経過観察を行っています。
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