大阪市淀川区・新大阪にある
【こおりたひろ整形形成外科クリニック】院長の郡田です。
今回は、ガスボンベの爆発により熱傷(やけど)を負い、
植皮を勧められていた40代の患者さんに対して、
なつい式湿潤療法で手術を回避し、きれいに治癒した症例をご紹介します。
◆患者さんについて|ガス爆発による熱傷(やけど)
患者さんは40代の方です。
ガスボンベの爆発により熱傷され、地元の基幹病院である
〇〇総合病院を受診されました。
初期治療として、フィブラストスプレーとガーゼによる処置
が行われていたそうです。
◆衝撃の説明|植皮手術が必要と告げられる
受傷から3日後の診察で、主治医から
「このままでは治らないので、明後日植皮手術の説明を行います。
ご家族も一緒に来てください。」
と告げられたそうです。
しかし――
「治らないのは、フィブラストスプレーを使ったからでは?」
と、私なら叫んでいたかもしれません。
◆運命の転換点|ネットで調べて当院へ受診
植皮を避けたい一心で、患者さんはインターネットで必死に情報を探され、
「なつい式湿潤療法」の存在を知り、植皮説明予定日の前日に当院を受診されました。
◆当院での対応|植皮不要で治ると説明
診察のうえ、「この熱傷(やけど)は、湿潤療法で手術なしに治せます」
とお伝えしました。
初めは驚かれ、不安も大きかったご様子でしたが、
「手術なしで治る」と説明した瞬間に表情が明るくなったのが印象的でした。
それでも、半信半疑なのは当然です。
大学病院の医師から「手術しないと治らない」と言われていたのですから。
◆治療内容|プラスモイストによる湿潤療法
当院では、プラスモイストを用いたなつい式湿潤療法で治療しました。
フィブラストスプレーやガーゼ、消毒は一切使用しておりません。
感染症も起こらず、抗生物質も不要。
治療中の痛みもなく、毎日シャワー・入浴が可能でした。
最終的には傷跡もほとんど残らず、
患者さんにも「先生を信じて良かった」と言っていただけました。
◆補足|植皮術のリスクとなつい式湿潤療法の有効性
植皮術は決して「簡単な手術」ではありません。
自分の正常な皮膚を別の部位から剥ぎ取る必要があり、
その部位にも傷跡が残ります。
移植部位も、ケロイド状の跡が残ることが多く、
身体的にも精神的にも負担は大きいのです。
1歳半未満の手掌熱傷や、関節拘縮を伴う重症熱傷など
ごく一部の例外を除けば、なつい式湿潤療法で十分に治癒可能です。
◆心ある医師へのお願い
なつい式湿潤療法であれば、痛みが少なく、安価で、傷跡も最小限に治癒します。
それにもかかわらず、いまだに
植皮手術を第一選択にしてしまう医療現場があることは非常に残念です。
今日も、植皮を受けて術後の痛みに苦しむ患者さん(特にお子さん)
がいるかと思うと、胸が引き裂かれる思いです。
どうか、今こそ正しい情報と治療法に目を向けていただきたい
と心から願っています。
✅【まとめ】
・ガス爆発による熱傷(やけど)も手術なしで治癒可能な症例が多い
・フィブラストスプレー・ガーゼ・消毒は不要で有害
・なつい式湿潤療法でほぼ無痛で治癒可能
・植皮には大きなリスクがある。必要最小限にすべき
・熱傷に悩む方、ご家族の方はぜひご相談ください

初診時

初診時(水疱膜を切除)

加療後7日

加療後17日
🌿 なつい式湿潤療法に関するよくあるご質問【FAQ】
Q1. なつい式湿潤療法とは何ですか?
A. 湿潤療法とは、傷を乾かさずに
「湿った環境を保つことで自然治癒力を最大限に助ける治療法」です。
消毒液やガーゼを使用せず、創傷を適度な湿度で保護することで痛みが少なく、
傷跡もきれいに治るのが特徴です。
当院では「なつい式湿潤療法」に基づいた方法で治療を行っています。
Q2. なぜ消毒をしないのですか?
A. 消毒液は細菌だけでなく、皮膚の治癒に必要な細胞まで殺してしまうため、
治りを遅くしたり、かえって傷跡を残しやすくなります。
なつい式湿潤療法では、
消毒はせず、皮膚が本来持っている再生能力を最大限助けて治します。
Q3. なつい式湿潤療法ではどんな処置をするのですか?
A. ハイドロコロイドやポリウレタンフィルムなどの
医療用の透明シールやパッドを使用し、傷を覆って湿潤環境を保ちます。
傷の種類に応じてワセリンを併用することもあります。
自宅では入浴・シャワーも基本的に可能です。
Q4. 痛みはありますか?
A. なつい式湿潤療法はガーゼ交換による「剥がすときの痛み」がありません。
また、傷の治癒も早いため、痛みが軽減されるケースが多いです。
痛み止めが不要なことも多く、お子様や高齢者にもやさしい治療法です。
Q5. 傷跡はきれいになりますか?
A. 傷の深さや場所によって個人差はありますが、
なつい式湿潤療法は乾燥させて治す方法に比べて、
傷跡が目立ちにくくなります。
特に顔など目立つ部位には適しています。
Q6. 毎日通院する必要はありますか?
A. 基本的には毎日通院する必要はありません。
ご自宅での処置方法(とっても簡単です)をご説明しますので、
セルフケアで管理が可能です。
ただし、傷の状態によっては数日に1度の通院が必要になることもあります。
Q7. 感染の心配はありませんか?
A. 適切に湿潤環境が保たれていれば、むしろ感染リスクは低くなります。
ただし、異常な痛みや腫れ・熱感・発赤などが出た場合は
すぐに受診してください。
Q8. 子どもにも適応できますか?
A. はい、なつい式湿潤療法は小さなお子様にも非常に適しています。
傷の痛みが少なく、ガーゼを無理に剥がす必要もないため、
治療のストレスが少なくなります。
当院では数多くのお子様の傷の治療実績があります。
Q9. なつい式湿潤療法が受けられる病院は限られているのですか?
A. はい、なつい式湿潤療法を積極的に導入している医療機関
はまだ多くはありません。
当院では、院長が豊富な症例経験に基づき、
すべての傷に対して湿潤療法を基本とした治療を行っています。
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