【症例紹介】腫れて痛む背中の粉瘤をくりぬき法で摘出|湿潤療法で消毒も抗生剤も不要だった50代男性のケース
大阪市淀川区・新大阪にある【こおりたひろ整形形成外科クリニック】院長の郡田です。
今回は、「背中にできた粉瘤がどんどん大きくなり、痛みも強くなってきた」という50代男性の症例をご紹介します。
👨⚕️ 背中にできた粉瘤|数か月前に発症
患者さんは50代の男性。
数か月前から背中にしこりがあり、2か月ほど前から徐々に大きくなってきたそうです。
不安になり、近くの皮膚科を受診されたところ、
「とりあえず様子を見ましょう」
と言われたものの、その後も腫れと痛みがどんどん悪化してきたとのことです。
🏥 腫れていても手術可能な医療機関をネットで検索
「こんなに痛いのに、なぜ様子見なのか…」
と不安になられた患者さんは、
炎症があっても手術をしてくれる医療機関をネットで探し、当院を見つけて受診されました。
🔧 手術は「くりぬき法」で実施
当院では、炎症がある粉瘤でも可能な限り早期に摘出することが治癒への近道と考えています。
今回も、直径3mmのパンチを使った「くりぬき法(パンチ摘出法)」で、
粉瘤の袋(被膜)ごと丁寧に摘出しました。
💧 術後は「なつい式湿潤療法」で管理
手術後の創部は、なつい式湿潤療法で管理します。
・消毒は一切行いません
・抗生物質の処方も不要でした(感染徴候なし)
・術後当日からシャワー・入浴もOKです
患者さんも「えっ?消毒も薬もいらないんですか?」と驚かれていましたが、
痛みも少なく、経過は非常に順調でした。
😊 術後経過と患者さんの声
術後の腫れはすぐに引き、傷跡も目立たずきれいに治りました。
「腫れててもすぐ手術してもらえて、本当に助かった」と大変喜んでくださいました。
📝 まとめ
粉瘤が炎症を起こして腫れてきた場合、「様子見」では治らないことが多く、むしろ悪化するケースもあります。
当院では、炎症があっても安全にくりぬき法で摘出し、なつい式湿潤療法で傷を最小限に抑えながら早期に改善できます。
背中や顔など、目立つ場所にしこりや痛みが出たら、ぜひお早めにご相談ください。

術前

術中

術直後

術後1日

術後4日

術後11日
🔵 粉瘤(アテローム)に関するよくあるご質問(FAQ)
Q1. 粉瘤とは何ですか?
A.
粉瘤(ふんりゅう、アテローム)とは、皮膚の下にできる袋状の良性腫瘍です。
中には皮脂や角質が溜まっており、自然に消えることはほとんどありません。
放置すると炎症を起こし、腫れ・痛み・膿が出ることがあります。
Q2. 粉瘤は自然に治りますか?
A.
自然に治ることは基本的にありません。
小さくなることがあっても、内部の袋(被膜)が残るため、再発することが多いです。
再発予防には手術による摘出が必要です。
Q3. 炎症があるときは手術できないのですか?
A.
他院で「炎症があると手術できない」と言われることがありますが、
当院では炎症があっても「くりぬき法」による手術が可能です。
むしろ早期の手術により、痛みや腫れが早く改善します。
Q4. 抗生物質では治らないのですか?
A.
炎症が強い粉瘤には抗生物質は無効です。
なぜなら、炎症は袋の内部で起きており、その袋には血流がないため、薬の効果が届かないからです。
よって、袋ごと手術で取り除くことが根本的な治療になります。
Q5. 手術はどんな方法ですか?
A.
当院では「くりぬき法」という方法を用いて、できるだけ小さい傷で袋(被膜)まで完全に取り除きます。
傷跡も非常に小さく、術後の痛みも最小限です。
Q6. 術後の処置はどのように行いますか?
A.
なつい式湿潤療法という方法で、傷を乾かさずに治す処置を行っています。
・消毒しません
・ガーゼ交換不要
・シャワー・入浴も翌日からOK
・抗生物質も基本的に処方しません
Q7. 術後に再発することはありますか?
A.
袋を完全に摘出できれば再発はほとんど御座いません。
当院では術中に被膜をしっかり取り除くことを重視しています。
Q8. 手術後の痛みや腫れはどの程度ありますか?
A.
炎症が強かった症例でも、術後の痛みは少ないケースがほとんどです。
多くの患者様が「想像していたより痛くない」と話されます。
Q9. 粉瘤が小さいうちに手術した方が良いですか?
A.
はい、小さいうちに手術することで、傷跡も小さく、手術時間や回復も短く済みます。
炎症が起きてからでは、痛みも強く治療が複雑になります。
Q10. 粉瘤の手術は健康保険が使えますか?
A.
はい、粉瘤の手術は保険診療の対象です。
手術の規模や部位により、負担額が異なる場合があります。
🌿 なつい式湿潤療法に関するよくあるご質問【FAQ】
Q1. なつい式湿潤療法とは何ですか?
A. 湿潤療法とは、傷を乾かさずに「湿った環境を保つことで自然治癒力を最大限に助ける治療法」です。
消毒液やガーゼを使用せず、創傷を適度な湿度で保護することで痛みが少なく、傷跡もきれいに治るのが特徴です。
当院では「なつい式湿潤療法」に基づいた方法で治療を行っています。
Q2. なぜ消毒をしないのですか?
A. 消毒液は細菌だけでなく、皮膚の治癒に必要な細胞まで殺してしまうため、治りを遅くしたり、かえって傷跡を残しやすくなります。
なつい式湿潤療法では、消毒はせず、皮膚が本来持っている再生能力を最大限助けて治します。
Q3. なつい式湿潤療法ではどんな処置をするのですか?
A. ハイドロコロイドやポリウレタンフィルムなどの医療用の透明シールやパッドを使用し、傷を覆って湿潤環境を保ちます。
傷の種類に応じてワセリンを併用することもあります。
自宅では入浴・シャワーも基本的に可能です。
Q4. 痛みはありますか?
A. なつい式湿潤療法はガーゼ交換による「剥がすときの痛み」がありません。
また、傷の治癒も早いため、痛みが軽減されるケースが多いです。
痛み止めが不要なことも多く、お子様や高齢者にもやさしい治療法です。
Q5. 傷跡はきれいになりますか?
A. 傷の深さや場所によって個人差はありますが、なつい式湿潤療法は乾燥させて治す方法に比べて、傷跡が目立ちにくくなります。
特に顔など目立つ部位には適しています。
Q6. 毎日通院する必要はありますか?
A. 基本的には毎日通院する必要はありません。ご自宅での処置方法(とっても簡単です)をご説明しますので、セルフケアで管理が可能です。
ただし、傷の状態によっては数日に1度の通院が必要になることもあります。
Q7. 感染の心配はありませんか?
A. 適切に湿潤環境が保たれていれば、むしろ感染リスクは低くなります。
ただし、異常な痛みや腫れ・熱感・発赤などが出た場合はすぐに受診してください。
Q8. 子どもにも適応できますか?
A. はい、なつい式湿潤療法は小さなお子様にも非常に適しています。
傷の痛みが少なく、ガーゼを無理に剥がす必要もないため、治療のストレスが少なくなります。
当院では数多くのお子様の傷の治療実績があります。
Q9. なつい式湿潤療法が受けられる病院は限られているのですか?
A. はい、なつい式湿潤療法を積極的に導入している医療機関はまだ多くはありません。
当院では、院長が豊富な症例経験に基づき、すべての傷に対して湿潤療法を基本とした治療を行っています。
お子さんのやけどでお悩みの保護者の方は、どうぞお気軽にご相談ください。
【こおりた ひろ整形形成外科クリニック】